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日本が誇る紙芝居文化

 日本人なら誰もが知っている紙芝居ですが、実は日本独自の文化であることはご存じでしょうか。この、日本で生まれて日本で発展した紙芝居をドイツでも広めようと、フランクフルトの教育局が日本文化普及センターと協力し、「Kamishibai」ワークショップを開催しました。

フランクフルト
記念品や子ども向けグッズが配布され、入館前からお祝いムード

人数限定の完全予約制のワークショップには、ドイツ国内外の教育従事者や出版関係者など、紙芝居を積極的に取り入れてみたいという意欲的な参加者が集結。開始前から複数の言語が飛び交い、会場内は熱気に包まれていました。

日本から紙芝居文化の会・海外統括委員の野坂悦子さんが来独し、紙芝居についてプレゼンテーションを行いました。まずは日本の紙芝居「おおきく おおきく おおきくなあれ」を実演。参加者一同の「おおきくなあれ」という掛け声とともに野坂さんがさっと紙を引き抜くと、「おお!」とあちこちから歓声が上がります。私も幼少期に戻ったかのように紙芝居の世界に引き込まれ、参加者も本場日本の演じ手による紙芝居に感嘆の声を漏らしました。

続いて、紙芝居の特徴などについてさらに詳しく掘り下げます。画面いっぱいに描かれた分かりやすい絵、見せたい部分を強調しデフォルメされた構図、飛び出さんばかりの迫力ある登場人物、聞き手の反応に応じた語りと、演じ手が作り出す独特の間、演じ手と聞き手が一緒になって物語を共感する喜びなど、それまでよく知らなかった紙芝居の素晴らしさを次々と発見しました。画面を引き抜くことで表現し得る効果は大きく、また、言語が発達途上の小さな子どもや、他言語を話す子どもでも理解しやすいなど利点もたくさんあります。単なる昔懐かしい紙芝居という言葉では形容しきれないほどの魅力とエネルギーを持った表現媒体で、紙芝居の持つ可能性に改めて圧倒されました。

午後からは参加者の交流会が行われました。スイスの出版社の人は自社の紙芝居を披露。ミュンヘンの出版社も、日本民話をドイツ語と英語に訳し、日本人イラストレーター西村ももさんの作画により出版した紙芝居と、「舞台」と呼ばれる自作の枠を紹介しました。

フランクフルト
ミュンヘンの出版経営者Gabriela Brackloさんと日本人イラストレーター西村ももさん

また、教育現場での紙芝居の活用法や題材選びなど、実用面での活発な意見も飛び交いました。紙芝居を言語療法として利用する予定のセラピストや、紙芝居で読み聞かせをする保育士など、ドイツで紙芝居を活用したいという人たちが積極的に交流し、幅広い分野で紙芝居が果たし得る役割を話し合いました。

子どもの頃に見た紙芝居にこれほどの力と可能性があったのかと、改めて自国の文化に驚きと誇りを感じました。Kamishibaiが世界中に広まることを願うと同時に、日本人としても紙芝居の良さを再認識したワークショップでした。

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。

 
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