「ハイデ」という花をご存知でしょうか?日本では「エリカ」と呼ばれている、ピンク、紫、白色の小さくて可憐な花です。気候によって、多少変動もありますが、8~9月初旬までの間に咲きます。ハイデが咲くリューネブルガーハイデ地域の古くからの言い伝えによると、8月8日~9月9日までと言われています。
赤紫色のハイデの大原野
自然保護公園リューネブルガーハイデは、ニーダーザクセン州の北東部に広がる欧州最大のハイデ原野です。ハイデの季節はもちろん、四季折々の自然を楽しむために、年間を通して多くの人々が訪れます。自然保護指定地区なので、車の乗り入れは禁止。徒歩、自転車、あるいは馬車に乗って行くしかありません。
最寄り駅から公園周辺の村々の間には、ハイデ・シャトルバスという循環バスが走っているので、ハイデ原野へのさまざまなハイキングコースにアクセスすることができます。ハイデ自然公園には、ハンブルク南部からツェレまで全長223キロのハイデシュヌッケン道(Heidschnuckenweg)が通っていて、その道が30カ所ほどのハイデ原野を結ぶ13のハイキングコ-スに分かれています。「ハイデシュヌッケン」とは、この地方特有の顔と足が真っ黒な羊のことで、散策中、ハイデシュヌッケンの群れに遭遇することもあります。
頂上からの眺めも素晴らしい!
9月の第1土曜日、そろそろハイデの季節も終わる頃に、リューネブルガーハイデに行ってきました。少し秋の気配も感じられますが、ハイキングには最高のお天気に恵まれました! ハンブルク駅からリューネブルク行の電車で約30分、ヴィンゼン駅で下車。この街に住む息子と孫が車でピックアップしてくれ、そこから約30分アウトバーンを走り、ハイデ原野入り口のニーダーハーファーベック村の駐車場に到着しました。ここからハイデ原野の美しい眺めが見られるスポット、ヴィルゼーダー山までハイキングです。
道標に従ってのどかな村の道を歩き始めると、パカパカと馬車が通り過ぎました。村から離れ、道は深い森林の中に続きます。ハイデはどこに咲いているのかしらと、きょろきょろ、期待に気持ちがはやり、ついつい歩みも早くなります。馬の落とし物に注意しながら森を抜けると、視界が急に開けました。あった! なんと目の前に広がるのは、赤紫色のハイデの絨毯のような大原野です。どこまでも続くハイデを眺めながらさらに1時間半くらい歩くと、ヴィルゼーダー山に到着しました。標高169メートルの小さな山ですが、ここから見える、どこまでも広がる美しいハイデのパノラマ風景は素晴らしかったです。家族写真を撮り、しばし休憩。
馬車がカポカポ通ります
この山からさらにいくつものコースがあるのですが、4歳の孫は、行きはよいよい、帰りは、もうグダグダになってしまったので、諦めて来た道を戻ることにしました。それでも、素晴らしいハイデの風景は十分楽しむことができました。来年はもう少し先まで歩けるかな?帰りの車の中で、孫の寝顔を見ながら思いました。
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。