Hanacell

アルトナ博物館のクリスマスマーケット

数カ月前のある日、アパートの入口に「アルトナ博物館存続のために署名を!」という貼り紙があることに気付きました。経済状況が悪くなると、最初に予算を削られるのは芸術・文化事業というのはどこも同じだとは思いますが、日本語のガイドブックにも必ず載っているハンブルクのアルトナ博物館が閉鎖されるとは……。市長が同博物館の閉鎖を発表するやいなや、市民は猛反対し、デモや署名活動を繰り広げていました。ついにはヘルムート・シュミット元首相が調停役に入って、閉鎖は当面お預けとなりましたが、現在も緊張状態は続いており、署名活動は続けられています。2010年を象徴する表現として「Wutbürger(怒れる市民)」という言葉が選ばれたそうですが、ここにもその一端が現れていますね。

北ドイツ、特にエルベ川周辺の芸術と文化の歴史を展示しているアルトナ博物館。芸術作品としては当地で生まれた絵画や美術工芸品などが展示され、文化的展示品からは漁業の変遷と造船技術の発達、17~19世紀の農家の様子などを追うことができるようになっています。数々の船の模型や船首像のコレクションは、港町ならではと言えるでしょう。2006年からは子どもたちのためのコーナーが設けられ、アルトナ博物館のコレクションにちなんだ体験型ワークショップが行われています。

ハンブルク
クリスマスマーケット内の人形のスタンド

アルトナ博物館は常設展のほか、特別展にも力を入れていて、常に複数の特別展が開催されています。ここ数年、この特別展の枠内でアドヴェントの時期になると同博物館にもクリスマスマーケットが立ちます。巷のクリスマスマーケットとの違いは、週末のみの開催で、週ごとにテーマが変わるということです。例えば、ある週のテーマはレープクーヘンなど、クリスマスのお菓子、別の週はクリスマスにちなんだ本という具合です。毎週異なるテーマを取り上げることで、何度もアルトナ博物館に足を運んでもらいたいというのが博物館側の狙いなのでしょう。

私が出掛けた週末は、人形とその付随品がテーマでした。様々なタイプの人形と着せ替え用の服、ドールハウスとその中に置く家具など、ミニチュアのアイテムが並べられており、かなり見応えがありました。操り人形や指人形などもあり、人形劇がお好きな方にはきっと、非常に興味深い企画だろうと思いました。

現在もアルトナ博物館は、存続のために戦っています。ぜひ一度訪れてみてください。

www.altonaermuseum.de

ハンブルク
アルトナ博物館の外観

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
 
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