Hanacell

不思議な花屋さん

以前、日本でクイズ番組を観ていたら、「ヨーロッパ人に聞きました。部屋の中にあって自分を慰めてくれるものは?」という質問がありました。その回答の第1位は「花」。皆さんならば、何とお答えになるでしょうか。確かにドイツ人の住居には、食卓をはじめ、花が飾られていることが多いように思います。日本にも生け花という文化がありますが、ドイツの場合はもっと生活に密着していて、かしこまらずに花を楽しんでいる感じがします。日本にいた頃、花屋と言えば、イベントの際などに贈り物として花束を買うところであり、美しく華やかなイメージがありました。

ハンブルクには、そのようなイメージとはかけ離れた実質本位の花屋があります。住所は、様々なショップがひしめく賑やかなシャンツェン地区のズザンネ通り30番(Susannestr. 30)。外には、花屋と分かるような看板や装飾が一切ないにもかかわらず、店の前にはいつも花を求める人の行列ができているのです。同店に並ぶのは、常にその日に入荷した2~4種類の花のみ。本日の品はグラジオラスとバラ、翌日はアマリリスとチューリップ、という具合です。

シャンツェン地区のズザンネ通り30番
花屋とは思えない店の外装

しかも10本、20本、50本というまとまった単位でのみ販売し、ばら売りはしてくれません。さらにお店の中には全く装飾がなく、花が無造作に所狭しと置かれているだけ。花束なんてもちろん作ってくれません。恐らくここは、主にレストランなど、大量の花を必要とする業者向けの花屋なのでしょう。ただ、新鮮な花を大量に扱っているだけあって、一般の小売店より安価であることは確かです。

オランダの花屋「Parkoper」
店の中に置かれた大量のチューリップ。この日の商品は、赤と紫のみ

この店の名前を店員さんに聞いてみると、「ただの花屋」だそう……。「記事を書きたいので質問しても良いですか?」と尋ねると、一言「Nein!」と無愛想そのもの。それから何を尋ねてもひたすら無視されました。お客さんたちが並んで待っていたので、付き合っている暇はないということなのでしょう。仕方なく、バーレンフェルダー通り153番(Bahrenfelder Str. 153)にある姉妹店と思わしき、雰囲気の似た花屋に行って尋ねたところ、オランダの花屋「Parkoper」だということが分かりました。ハンブルクでは2店舗を展開し、扱っている花はすべてオランダからの直送だそう。このバーレンフェルダー通りの姉妹店にも看板は出ていませんでした。店員さんは「私たちの店には電話もないし、どこにも店案内を出していない」と言います。よくそれで商売ができるものだと思いましたが、新鮮さと安さが評判を呼び、口コミでお客さんが集まって来るのでしょう。開店日は毎週水~土曜です。

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
 
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