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ロンドンのゲストハウス
Sa. 14. Dez. 2019

かつての毒ガス製造会社が ユダヤ人の集まる場所に

第2次世界大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人に対する迫害とホロコーストは、ドイツの歴史の中で、二度と繰り返してはならない、忘れてはいけない事実として、人々の心に刻まれています。ハンブルクの東のはずれにも「ノイエンガンメ強制収容所跡」があり、ハンブルクに住む子供たちは、学校の社会科見学として、必ずと言っていいほど訪れています。ノイエンガンメは、アウシュヴィッツのようにユダヤ人を葬り去ることが目的ではなく、強制労働をさせるための収容所でしたから、少しはましかもしれませんが、それでもその悲惨さは衝撃的です。

記念盤
「かつてこの場所に毒ガス製造会社があった」事実を表記した記念盤

そして、あまり知られていませんが、ハンブルク市街地の中心近くにはアウシュヴィッツなどでユダヤ人を殺害するために使われた毒ガスの製造会社があったのです。チレハウスと倉庫街の間にあるコントアハウス・メスベルクは、1920年代にユダヤ人の建築家の兄弟、ハンス&オスカー・ゲルソン氏によって建てられました。最上階まで続くらせん階段がカタツムリのように渦巻いている様子は、建築物としても一見の価値があります。ナチスが台頭してきたときに、ゲルソン氏はじめ、建物の一角を所有していたユダヤ人たちは国外に亡命せざるを得ず、代わりにテッシュ&シュターベノウという会社が事務所を構えることになりました。
その会社が1942年から、ナチスの依頼を受けて毒ガス「ツィクロンB」を製造し、強制収容所へと発送していたのです。

らせん階段
最上階まで続くらせん階段

その後、この建物には様々なテナントが入ってきましたが、2000年からは、「エベン・エゼル」というドイツの公益団体が1階部分を使用しています。この団体は、欧州に離散しているユダヤ人がイスラエルに帰還するのを手助けしたり、困窮しているユダヤ人を援助する働きをしています。かつてユダヤ人撲滅とかかわった毒ガス製造会社のあった場所が、ドイツ人による、ユダヤ人との出会いと和解の場になっていることは、不思議な神のお計らい、ということでしょうか。

この秋から年末まで、エベン・エゼルを会場に、毎月1回、「今なぜイスラエル?」という連続講演会が行われています。9月は、ボランティアで1年間イスラエルに滞在していた若い女性たちの報告、10月は、政治家であり神学者であるヨジアス・テアシューレン氏の講演でした。ドイツにいると毎日のように中東、イスラエルのニュースがメディアでも取り上げられますが、講演者の視点を通して語られるイスラエルの話は、メディアが伝えるステレオタイプのイスラエル像とは違っていて、興味深かったです。

エベン・エルゼ: www.ebenezer-deutschland.de

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?

 

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