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Mo. 30. Nov. 2020

終戦70周年、広島の原爆投下を振り返る

ハノーファーは広島市と姉妹都市提携をしており、終戦70周年を迎える今年、広島関連の催しを多数企画しています。その1つがハノーファー広島友好会とハノーファー市による展示会「広島70年 1945年8月6日」で、8月5日から15日まで市庁舎にて開催されました。4日の開幕式に当たり、友好会のゲオルク・トューナウ会長は「8月6日の広島を忘れてはいけない。写真や資料を通して、当時の様子を若い人にも知ってほしい」と語り、展示会には連日数百人が訪れる盛況でした。

ハノーファー
「広島70年 1945年8月6日」の開幕式の様子

展示では、26歳のときに広島で被ばくした井手口茂美さんの手記「ことりもカラスもいなくなった 爆心500米の証言」も紹介されました。この手記は、井手口さんが1989年、70歳のときに執筆したもので、爆心地から500メートルの地点で被ばくした当時の様子が生々しく描かれています。爆発直後の闇の中での静寂や、数々の危機を乗り越えて生き延びたこと。広範囲にわたるやけどを負い、毛髪が抜けたり吐血するなど、被ばく特有の症状が出て、4日間昏睡状態に陥ったそうです。しかし奇跡的に回復し、専門家から「あなたは普通なら生きている状態ではない(中略)あなたのからだが放射能に対し、一般の人よりも数倍抵抗力があったという事実だけです」(166~167頁)という驚きのエピソードが書かれていました。

また本著で茂美さんは、原爆投下は生体実験をするためだったのではなかったかと問いかけています。原爆傷害調査委員会(ABCC)について、「半強制的に広島市在住の被曝者を連行し診察しながら、資料はアメリカだけの極秘資料として日本側に公開しなかった。その上診察するだけで治療は一切しない」(167頁)と憤り、「原爆は人の肉体だけでなく、保有する側の人間の心まで汚染し破壊する威力があるようだ」(169頁)と結んでいます。

ハノーファー
手記のドイツ語版と日本語版を手にする井手口理磨さんご夫妻

この手記を、終戦70周年の今夏、茂美さんの孫でボーフム在住のトロンボーン奏者、井手口理磨さんと夫のファビアン・リートケさんがドイツ語に翻訳し、『Singvögel und Raben waren auch nicht mehr da』(Hentrich & Hentrich Verlag Berlin刊)と題して出版しました。理磨さんは、「核兵器が使用されると軍隊だけでなく、一般市民である私たちが被害に遭う。人ごとではなく、私たち自身が関心を持ち続けなくてはならない事柄であり、平和な時代に、平和な国に生まれた人間の役目だと思う」と話し、ドルトムントやハノーファーの市庁舎で朗読会をし、その後、トロンボーンでバッハの祈りに通じる曲を演奏しました。

理磨さんは東日本大震災の被災者支援のため、これまで9回のチャリティーコンサートを企画し、約1万2000ユーロの募金を集めました。次回は来年3月に予定しています。

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 
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