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子どもたちの物々交換マーケット

生活不用品を持ち寄って気に入った物と交換する「物々交換マーケット」が、現在ドイツ各地に広まっています。ここでは、貨幣は一切役に立ちません。必要なのは交渉するコミュニケーション能力のみ。また、フリーマーケットのように事前の申し込みも必要なければ、場所代を支払う必要もありません。予定日時に公園や広場に人々が集まり、適当にレジャーシートを広げて持ってきた物を広げます。お金に換えることを前提としていないので、皆が持ち寄るのは簡素な物、子ども服やおもちゃがほとんど。面白いのは、子どもたちが自分で必要ないと判断した物を出品し、自ら交換の交渉を行うことです。

先日、3歳になる我が娘も自分で要らないと判断したゴリラと犬、ネズミのぬいぐるみを持って、ライプツィヒ西部で開かれた物々交換マーケットに参加してきました。最初に彼女は小さなサングラスに目を付け、照れながらもゴリラのぬいぐるみと交換することができました。続いて犬のぬいぐるみとワンピースの交換交渉に成功。出品している子どもたちも、要らなくなったとはいえ、自分が大事にしてきた物と交換するとあって、じっくり検討しているようです。大人たちはそんな子どもたちの脇で、持参したケーキなどを食べながらピクニックを楽しんでいました。

子どもたち同士の物々交換
子どもたち同士の物々交換

マーケットの主催者は地域の市民団体で、ライブ演奏やパフォーマンスなど、来場者を楽しませるプログラムを用意していました。子どもたちにフェイスペイントを施していたアーティストは、その代償に何かとの「交換」を提案していました。ある子は母親が焼いたケーキを差し出し、また別の子はどこからか手に入れた風船をそのアーティストに渡して、顔にペイントをしてもらっていました。私の娘はネズミのぬいぐるみをアヒルのぬいぐるみと交換し、さらにそれをミニカーと交換、最後はフェイスペイントに変わって満足していました。

La Palma Space Blues
ウクレレ・オーケストラ「La Palma Space Blues」のライブ演奏

後日、マーケットの主催者のブログに以下のように書かれていました。「お金なしで本当に多くの人が集まった素敵な午後でした。皆さん、消費するだけの生活を見直し、他人に期待するのでもなく、自分から行動を起こしましょう。お金を使わなくても、新しい人と出会い、笑顔でコミュニケーションができますよ」。さらにこの地域には、要らなくなった日用品を交換できる「物々交換ボックス」が歩道に設置されており、住民が日常的に活用しています。

物々交換マーケットは、物が溢れている現代の私たちの消費社会を見直す良い機会となりました。皆さんがお住まいの都市でも、ぜひ物々交換マーケットに参加、もしくは企画・実行されみては?

ミンクス 典子
福岡県生まれ。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の建築設計事務所に所属し、10年に「ミンクス.アーキテクツ」の活動を開始。11年よりライプツィヒ「日本の家」の共同代表。
www.djh-leipzig.de

 

 
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