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EU調査プロジェクト Divercities(都市の多様性)

ロンドン、パリ、ロッテルダム、コペンハーゲンなど欧州の15都市が集まり、2013年1月にスタートした調査プロジェクト"Divercities(都市の多様性)"に、ドイツからはライプツィヒが参加しています。

オランダのユトレヒト大学が主導し、欧州委員会からの助成を受けて、各都市の研究機関がリサーチ。参加都市の一つを会場に半年に一度のワークショップも進めてきました。ライプツィヒからはヘルムホルツ環境研究所(UFZ)が参加し、私たちのプロジェクト「日本の家」も移民による市民活動の代表として関わっています。4年を費やした同プロジェクトが今年2月、総まとめを行い、いよいよ完了します。

そもそも都市に「多様性」をもたらしているものは、一体何なのでしょうか? そして、それはなぜ重要なのでしょうか? 移民や難民が増え続け、特にここ数年はどの都市も大きな社会環境の変化を経験しています。ドイツに住む私たち日本人も含め、移民がどのようにドイツ社会に適応していくかは重要な課題です。いつまでも暫定的な居住地として生活する「ゲスト」状態ではなく、自分たちもドイツ社会の一部として積極的に関わっていくことが大切だと思います。

今回のDivercitiesというプロジェクトは、調査活動を基本としながら、最終結果をハンドブックにまとめてEUに提出し、EUの政策に反映されることを目的としています。そのため、研究機関の視点だけではなく、行政と市民活動家の視点をバランス良く取入れるため、昨年9月に、アントワープで約70名が集まる2 日間のワークショップが行われました。私もライプツィヒから移民の活動家として参加。共通言語が英語になるため、母国語の英国人以外はエンジンがかかるまでに時間がかかりましたが、各都市の課題点を挙げ、それぞれの差異を示すだけに留まらず、それぞれが共有できる未来への提言を組み上げる貴重な機会となりました。

2016年9月アントワープで開催されたワークショップ
2016年9月アントワープで開催されたワークショップ

2月のロッテルダムでの最終ワークショップを終着点とし、各都市でも4年間の成果をまとめる段階にきています。先日もライプツィヒで、UFZが行政と活動家を集めたワークショップを行いました。二つの対象地区で実施された調査と現地インタビューの結果を冊子にまとめ、今後これを行政側が都市計画に活かしていく際に、その内容が実際の市民生活とかけ離れてないかどうかについて話し合いました。

ライプツィヒで行われた意見交換会
ライプツィヒで行われた意見交換会

移民としてこのようなワークショップに参加する際に残念に感じることは、「移民・難民」について熱心に話し合う場に当事者である「移民・難民」が同席していないことです。私自身が参加し、意見できる機会に感謝をしながら、この参加の輪が広がることも「都市の多様性」を受け入れることにつながると感じています。

Divercities: www.urbandivercities.eu
UFZ: www.ufz.de
ミンクス 典子
ドイツ建築家協会認定建築家。福岡県出身。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の設計事務所に所属し、10年から「ミンクス・アーキテクツ」主宰。11年より日独文化交流拠点ライプツィヒ「日本の家」の共同代表。
www.djh-leipzig.de
 
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