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ザルツブルク郊外の野外博物館を散策

寒くなるとインドアな活動が多くなりますが、こんな時こそ、晴れた日は外に出かけたくなりますね。今回は、お散歩に最適な野外博物館(Freilichtmuseum) をご紹介しましょう。バイエルン州内にもさまざまな野外博物館がありますが、今回はお隣の国、オーストリアのザルツブルク郊外にある博物館「Salzburger Freilichtmuseum」に行ってみました。ここは、車ならドイツの国境からすぐ。公共交通機関の場合はザルツブルクから、バスで約30分です。

50ヘクタールある園内に点在するのは、ザルツブルクの5つの地方で16世紀から20世紀に実際に使われていた建築物です。民家はもちろん、農家の穀物倉、駅、水車、手工業の作業場、チャペルなどなど、約100棟が展示されています。遊歩道は全長7キロあるので、すべてを歩いて見るのはちょっと大変そうと思ったら、園内を回る鉄道がありました。ガタンゴトンと揺れる可愛らしい汽車に乗れば、園内の奥の方まで楽々と連れて行ってくれます(乗車賃は入場料に含まれています)。

16世紀の山間部の民家は壁の木材も薄く、建てられた当時はそれほどではなかったかもしれませんが、隙間風もかなり入って、頼りない感じです。窓が小さいため中は薄暗く、暖房用や炊事用の暖炉設備も整っていないので、冬にはかなりの寒さではなかったかと思えます。夏山での放牧時に使用されていた民家は作業用の土間と板間、そして貯蔵庫も兼ねた屋根裏部屋(今風にいえばロフトでしょうか)があって、なんだかアニメで見たハイジの山小屋を彷彿とさせます。建築年代が下がるにつれて、壁がしっかりした造りとなり、家具も揃ってきます。

農家
屋根の風見鶏が印象的な、大きな農家

玄関を入ってすぐの空間にストーブが設置され、壁を挟んで台所兼居間があるのは、どの民家にもほぼ共通した造りでした。煙突付きの暖炉を作るのはやはり大変だったのか、1カ所の暖炉を囲うように何部屋かが配置され、各部屋に炊事も可能なストーブが設置されているのが興味深かったです。日本では水周りの都合か、もしくは日光を避けるために家の裏側である北側に台所があることが多いのとは逆の発想のように感じられました。快適に過ごすために冬と夏のどちらを重視するかという、気候の違いが反映しているのかもしれませんね。

靴職人
靴職人の仕事場は居間の一角

同じ建物内に家畜が暮らす部屋があったのも興味深かったです。外に出ずに家畜の世話ができるのも、寒い時期には便利だったのでしょう。動物達が発する熱が暖房代わりにもなっていたようです。土地の学校を兼ねた、司祭さんが暮らす家にも家畜部屋があったのは、きっと田舎の暮らしならではですね。

この野外博物館では、夏や冬の休暇時期にはさまざまなガイドツアーや体験イベントが開催されています。

野外博物館:www.freilichtmuseum.com

Yoshie Utsumi
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで 通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。 2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。

 

 
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