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Di. 17. Sep. 2019

ゼクトの世界へ 3 ゼクトの製法

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ゼクトはベースワインから生産される商品で、通常、ベースワインの2次発酵、つまり2度目のアルコール発酵というプロセスを経て造られます。ベースワインにフュルドサージュ(ティラージュ、ワインにショ糖と酵母を溶かしたもの)を加えることで2次発酵が起こり、その際に発生する二酸化炭素がワイン内に保たれ、泡立つワインになるのです。2次発酵によってアルコール度数が少し上がりますので、ベースワインはそれを考慮に入れて造られています。例えば、ベースワインに使用するぶどうの収穫は、ゼクトにとって大切な活き活きとした酸味が果実にまだたっぷりと保持されている、通常のワインの収穫期より少し早い時期に行われます。

大企業がリリースしている大量生産のノンヴィンテージ・ゼクトは、いくつものベースワインのブレンド(キュヴェ)の2次発酵で造られます。つまり、ブレンドの技によって、ブランドの均一な個性を出しているのです。これには複数のヴィンテージや品種がブレンドされることもあります。

個々の醸造所が少量生産しているヴィンツァーゼクトなどは、1ヴィンテージ、1品種で造られることも多く、ワイン同様、ヴィンテージの特徴が出る個性的な商品になります。

ゼクトには、大きく分けて以下の3つの製法があります。

➀大型容器発酵法(シャルマ製法)

フュルドサージュを加えたベースワインを大型の圧力容器(タンク)内で2次発酵させる方法で、均一のロットが大量生産できます。発酵後に酵母の澱を濾過して取り除き、ボトリングします。コストが安くすむため、主に大規模醸造所(ケラーライ)で実践されています。

➁瓶内発酵法(トランスヴァジア法)

フュルドサージュを加えたベースワインをボトリングし、瓶内2次発酵させた後、圧力容器内でボトルのゼクトをタンクにあけ、酵母の澱を濾過した後に再びボトリングを行います。この方法は手間とコストが掛かるデゴルジュマンに至る手作業を簡便にしますが、エチケットには「瓶内発酵」の表記が認められています。

➂伝統的瓶内発酵法

瓶内2次発酵後、個々のボトルを機械か手作業で「動瓶(ルミアージュ)」し、徐々に垂直になるよう角度を付け、酵母の澱を瓶口に集めます。その後、瓶口を凍結液に浸して澱を凍らせます。澱は栓を開ける際に炭酸ガスの圧力で押し出されます。手間とコストが掛かる製法で、ボトルにはその旨を表記することが認められています。

以上、3つの通常の製法以外に「メトード・リュラル」(リュラルは田舎の意)と呼ばれる方法があります。 南フランス・リムー地区で行われている、最古と言われるスパークリングワイン製法です。 2次発酵法と異なり、 完全発酵していないモスト(果汁)をボトリングし、そのまま瓶内でさらに発酵させます。通常、酵母の澱は除去せず、瓶内に澱が沈殿します。ドイツでもわずかながら、この方法でゼクトを生産している造り手がいます。

 
Weingut Reichsrat von Buhl
ライヒスラート・フォン・ブール醸造所>
(プファルツ地方)

グロッシェとカウフマン
グロッシェ氏(左)とカウフマン氏

ドイツの著名ワイナリーの1つ。創業は1849年。醸造所の建物は重要文化財に指定されている。宰相ビスマルク(1815~98)が同醸造所のリースリング、フォスター村の「ウンゲホイアー」を愛飲していたことでも知られる。畑面積は計56ヘクタール、リースリングの比率は約75%。このほか、シュペートブルグンダーが重要品種となっている。オーナーはプファルツ地方で広告宣伝会社を営むニーダーベルガー家で、同地に複数のワイナリーを所有している。2013年ヴィンテージからは醸造所社長にリヒャルト・グロッシェ氏、醸造責任者にマシュー・カウフマン氏を迎え、エチケットデザインも刷新。カウフマン氏は12年にわたり、フランス・アイ村のシャンパン・メゾン、ボランジェ社でケラーマイスターのチーフを務めた人物。新生フォン・ブールのリースリングは、伝統を踏襲したスタイル。残糖がほとんどなく、自然のままの酸味を残したピュアな味わい。2009年よりビオ認定。VDP会員。

Weingut Reichsrat von Buhl
Weinstrasse 18-24
67146 Deidesheim
Tel. 06326-965019
www.von-buhl.de


2013 Von Buhl Riesling Brut
2013年 フォン・ブール
リースリング・ブリュット 14,90€

ワインフォン・ブール醸造所は、伝統製法のゼクトの生産者としても名を馳せる。このリースリング・ブリュットは、昨年11月末にリリースされたばかり。シャンパンのスペシャリストであるカウフマン氏が、初めて世に問うリースリング・ゼクトということで注目を集めている。カウフマン氏はフランス・アルザス地方出身。アルザスの醸造所でリースリングの醸造経験を積んだ。リースリング・ゼクトの生産は、氏のかねてからの望みだったと言う。ベースワインは所有畑である地元ダイデスハイム近郊の砂岩、玄武岩土壌由来のものと、20年来取り引きがある南北プファルツの農家の石灰分の多い土壌由来のものをブレンド。単一品種だが、カウフマン氏のブレンド能力が発揮された。シャンパンと同じ圧搾法を採用し、1番搾りの果汁のみを使用。ベースワインは一部大型の木樽で熟成。みずみずしいりんごを丸かじりするような、フレッシュで透明感溢れる味わい。ほのかなアプリコットや洋梨の風味が魅力的。現在リリースされているものは瓶内熟成10カ月。今後リリースされるものは、瓶内熟成12~15カ月となる。


 
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岩本順子(いわもとじゅんこ) 翻訳者、ライター。ハンブルク在住。ドイツとブラジルを往復しながら、主に両国の食生活、ワイン造り、生活習慣などを取材中。著書に「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)、「ドイツワイン、偉大なる造り手たちの肖像」(新宿書房)他。www.junkoiwamoto.com
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