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パークアイゼンバーン

ドレスデンのセントラルパークともいえるグローサー・ガルテン(Großer Garten)はドレスデン動物園に隣接し、賑やかな中心街にも近く、市民の憩いの場となっています。その公園の中をレール幅381mmのミニ鉄道「パークアイゼンバーン(Parkeisenbahn)」が走っています。遊園地にあるような子ども向けの乗り物かと思いきや、時速20kmのスピードを出し、時折ミニ蒸気機関車も走っているかなり本格的なものです。

5月から10月まで運行しており、天気の良い週末ともなれば満員御礼状態です。全長5.6kmの中に駅が合計5つあり、園内をぐるりと1周しても良いし、好きな駅で下車することも可能です。公園内の芝生の上でスポーツをしたり、ピクニックをしたりする人々の間を走り抜け、公園内の踏み切りを通過し、樹木の間を疾走するのでスリル満点、そして園内にいる皆の注目を浴びます。晴れた日には天蓋なしの客車がオススメ。直にスピードを感じられ、公園の広々とした風景や林の緑を存分に楽しめます。また、普通の客車はドアも窓も小さく、まるでミニチュアのように見えるのですが、すべて木製の味わい深い作りとなっています。汽笛が鳴ってゴトンゴトンとゆっくり走り出し、スピードが上がるとともに、気分はワクワクしてきます。

ミニ蒸気機関車
ミニ蒸気機関車

1950年、世界子どもの日である6月1日に、パークアイゼンバーンの前身である「子ども鉄道」が開通しました。翌年には社会主義の色合いが濃い「ピオニールアイゼンバーン(Pioniereisenbahn)」という名称が付けられ、東ベルリンやライプツィヒなどにも同様の鉄道が開通しました。この頃から、10~14歳くらいまでの少年たちが職業訓練および青少年育成の目的で運行管理に従事するようになりました。現在でも、機関士と駅長以外の役割をすべて青少年たちが担っています。揃いの制服を着て、切符の販売や駅の信号・ポイントの切り替え、検札などをテキパキとこなす姿を見ていると、彼らが頼もしく思えてきます。現在、ドイツの鉄道機関士の多くは、子どもの頃のこのような体験をきっかけに、機関士の道を選んだそうです。

子ども鉄道はハンガリーのブダペストにもあり、毎年夏休みには、ドレスデンとブタペストの青少年たちが互いの子ども鉄道での任務を体験する国際青少年交換プログラムもあります。私が乗った時もハンガリーから来た少年たちが働いていて、いろいろと質問したら、しっかり英語で答えてくれました。

来年6月1日に、この鉄道は60周年記念を迎えます。同月5日には、かつてこの鉄道に関わったすべての「元」青少年たちを招待して、大々的に記念イベントが開催されるようです。

www.parkeisenbahn-dresden.de

交換プログラムで働くハンガリーの少年
交換プログラムで働くハンガリーの少年

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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