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ワイマールの玉ねぎ祭り

今回は番外編として、ドレスデンがあるザクセン州のお隣、テューリンゲン州のワイマールで年に一度開かれている玉ねぎ祭り(Zwiebelmarkt)をリポートします。

ワイマールは何と言ってもゲーテの本拠地であり、加えて詩人シラーや画家クラナッハ、歴史の授業で登場するかの有名なワイマール憲法、近代建築とデザインの礎を築いたバウハウスなど、キラ星のごとく名が挙がる文化の薫り高き小都市です。また、個人的には、我が夫の生誕地であり、彼が学生時代を過ごした町。夫の実家に近いため、私たち家族にとっては馴染み深く、頻繁に訪れている場所です。

今年で第361回となる玉ねぎ祭りは、10月17~19日に開かれました。テューリンゲン州最古の祭りで、その起源は1653年にまでさかのぼります。当時は、ワイマールの住人や周辺地域の人々が冬の備えとして玉ねぎと野菜の買い置きを目的とした寄り合いのようなものでしたが、19世紀に入ると開催期間は3日となり、地域の枠を越えた大きなイベントへと発展していきます。旧東独時代に開催期間は1日に縮小されましたが、それでも約12万人が訪れ、統一後の現在では毎年約30万人の人出を数えます。その名が示す通り、祭りのモチーフは玉ねぎで、2色の玉ねぎや花を編み込んだ玉ねぎの飾り(Zwiebelrispen)がシンボルです。玉ねぎ祭りとゲーテとの関係については多くのエピソードがありますが、彼はこの飾りを書斎の机などに飾り、玉ねぎの効用を称えたといいますから、いかにもゲーテらしいですね。

玉ねぎの飾り
見事な玉ねぎの飾り

並木が美しいシラー通りには玉ねぎの飾りを販売する屋台が集中し、来場客の目を楽しませてくれます。もちろん、食用の玉ねぎも農家から直接袋買いすることが可能です。ほかにも様々な屋台が並びますが、秋の味覚である玉ねぎケーキ(Zwiebelkuchen)とフェーダーヴァイサー(Federweißer)はマストアイテムで、ほかにも本場のテューリンガーソーセージを堪能できます。劇場広場やマルクト広場にはステージが設置され、バンド演奏も祭りのムードを盛り上げていました。

シラー通り
玉ねぎの飾りを売る屋台が軒を連ねるシラー通り

ところで、お堅いイメージのあるドイツ人の息抜き的なユーモアをご存知でしょうか? ワイマール国民劇場前のゲーテとシラーの像は有名で、ゲーテの左足は台座より数センチ前に踏み出しています。ワイマール公国を牽引する政治家として前に踏み出さんとする姿勢は大変頼もしいものですが、隣に立つシラーが言うには「ゲーテよ、もう一歩前に踏み出せば下に落ちますよ」。ドイツを代表する高名な2人に水を差すようなジョークは、おそらくこの2人への尊敬の裏返しなのでしょう。

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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