ジャパンダイジェスト

最古のクリスマスマーケット シュトリーツェルマルクト

11月24日、今年もドレスデンのシュトリーツェルマルクト(Striezelmarkt)がオープンしました。この名称はドレスデン名物のクリスマス菓子シュトーレンにちなんでいます。ドイツ最古のクリスマスマーケットとして名高く、今年は第582回目の開催となりました。今でこそ遠く日本からも訪れる大規模なクリスマスマーケットですが、1434年の第1回はわずか1日限りの開催。ザクセン選帝侯フリードリヒ2世と弟ジギスムント公爵が、聖夜の前に自由な市場を許可したことが始まりでした。それから幾多の時代をくぐりぬけること580年以上、240以上の小売商と興行師が集う、今日の姿に発展してきました。歴史の説明は他に譲ることとし、今回は2001年から見続けたレポーター視線で書き留めたいと思います。

ドレスデンのシュトリーツェルマルクト
ドイツ最古として名高いドレスデンのシュトリーツェルマルクト

初めて訪れたシュトリーツェルマルクトは、石畳の上がアスファルトで継ぎ接ぎに修復された広いアルトマルクト広場に、屋台が並列に並んでいただけでした。「ドイツ最古」という看板以外は特徴もなく、人々がいつまでも楽しそうに談笑して時間を過ごしている他都市のマーケットとの落差に、がっかりした記憶があります。ドイツのどこの都市や町にもマルクト広場は存在し、そこには市庁舎があり、市場が立ち、人々が集う生活の中心地です。ドレスデンのアルトマルクト広場も、写真や絵画で見る限り、第二次世界大戦前は大変魅力あふれる場所だったようです。ですが、1945 年の爆撃後は東独時代も含めて、必要に応じた応急処置的な修復のみで、ついには駐車場として利用されるだけの広場になり下がっていました。筆者にとってもクリスマスシーズン以外は、穴をふさぐ目的のアスファルトやトラムの線路の残骸が無造作に見える閑散とした場所という印象でした。

2007年のシュトリーツェルマルクトは、地下駐車場建設工事のため、近くのフェルディナント広場にて開催されました。そして、工事が終了すると、マルクト広場は一面石畳となり、モダンな噴水や照明が配置されて生まれ変わりました。石畳になっただけでシュトリーツェルマルクトの雰囲気がこうも素敵になるものかと実感しました。その後、イベント企画会社のプロデュースにより、屋台の配置が迷路のように工夫され、屋根の装飾も大幅に派手になり、そぞろ歩きが楽しく、いつまでもそこで過ごしたくなるクリスマスマーケットへと大変貌を遂げました。商業的な成功のきらいが強い印象ですが、集客力は飛躍的に向上しました。

名物のクリスマス菓子シュトーレンの屋台
名物のクリスマス菓子シュトーレンの屋台

シュタールホーフの中世風クリスマスマーケットから聖母教会のあるノイマルクト広場のクリスマスマーケット、そしてシュトリーツェルマルクトを梯子(はしご)する頃には体も冷え切ります。1年が早かったと嘆くなかれ、今年もまた同じ場所でグリューワインを飲めることは有難いことです。

BIRD:www.dresden.de/striezelmarkt

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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