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フランクフルトの地酒「アプフェルヴァイン」

爽やかな秋風が心地良いこの季節、ドイツ各地でワイン祭りが開かれ、美味しいワインを味わうことができます。しかし、ここフランクフルトでワインと言えば、「アプフェルヴァイン(Apfelwein)」と呼ばれるリンゴ酒が有名です。フランクフルトのあるヘッセン州は大小合わせて60のリンゴ酒醸造所があり、年間4000万リットルものリンゴ酒が生産されています。

リンゴ酒祭り
見知らぬ同士も同じ長椅子に腰掛けて陽気に飲みかわすリンゴ酒祭り

この街自慢のワインを存分に味わえるのが、毎年8月中旬に街の中心ロスマルクトで開かれるアプフェルヴァイン・フェスティバル。屋台とステージが設置され、醸造所によって微妙に味の異なるリンゴ酒が並びます。青空の下、ステージで演奏されるライブ音楽を聴きながらリンゴ酒を楽しむ人たち。地元民も観光客も気軽に飲み食いができ、見知らぬ人たちでも隣り合えば、自然と会話が進むオープンな雰囲気でした。私も陽気な人々に混じって生リンゴ酒を立ち飲みしてみました。口に含んだ瞬間に広がるリンゴの風味に、キリッとした苦みと酸味。日本でポピュラーなシードルとは異なり、炭酸がほとんどなく、アルコール度数も5~7%と低めなので、ゴクゴクと一気に飲み干してしまいました。好き嫌いが分かれるかもしれませんが、独特の苦みと酸味がクセになりそうです。

お祭りでなくとも、マイン川南岸のザクゼンハウゼン地区には昔ながらのリンゴ酒を出すレストランが軒を連ね、毎晩のように地酒を楽しむことができます。石畳に古い建物が並び、気取らない下町の居酒屋といった雰囲気の店内で、人々は郷土料理を肴にリンゴ酒のグラスを傾けます。ワイングラスというと、脚と台が付いたグラスを思い浮かべますが、リンゴ酒はゲリプテス(Geripptes)と呼ばれるダイヤ模様が入った切子のコップで飲むのが特徴。灰色に青い模様が入ったベンベル(Bembel)という専用のピッチャーから注がれます。  

アプフェルヴァイン
地元の大手醸造所Possmannのアプフェルヴァイン

また、リンゴ酒と共に観光もできてしまうのが、土日祝日限定で市内を走る特別路面電車「エッベルヴァイ・エクスプレス」です。エッベルヴァイとはフランクフルト訛りでアプフェルヴァインのこと。リンゴ酒を飲み、ブレッツェルを食べながら名所をめぐって、メッセや中央駅、ザクゼンハウゼン地区、動物園や旧市街、欧州中央銀行などの各停車駅で自由に乗り降りができます。  

古くからフランクフルト市民のソウルドリンクとして親しまれているアプフェルヴァイン。その独特な味わいを、ぜひ一度お試しください。

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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