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大学の授業料導入に「NO!」州政府前で学生たちのデモ

バーデン=ヴュルテンベルク州は2016年、州内の国立大学で2017年の冬学期から非EU圏の学生に対し1学期1500ユーロと、二つ目の専攻(Zweitstudium)を学ぶドイツの学生に対して、1学期650ユーロの授業料を導入すると決定しました。多くの州で国立大無料となっているドイツ。授業料などの教育政策は州政府の判断に任されており、二つ目の専攻の場合に授業料を課す州はほかにもありますが、外国人を排除するようなやり方は戦後のドイツが取ってきた態度とは相容れないもの。しかも与党でリベラルなイメージの緑の党がこのような決定をするとは、と波紋が広がっています。ハイデルベルクやフライブルクなど州内の大学の街ではすでに学生による様々な抗議活動が行われていましたが、ついに1月13日の金曜日にシュトゥットガルトでも「暗黒の金曜日」という名で、数百人の学生がデモを行いました。参加者のほとんどは、この新しく導入された学費を払う必要のない学生たち。それでも、ここに集まって抗議の声を上げているのは、ドイツで最も重要な価値観の一つである「連帯感」のもと、新しく入ってくるであろう留学生たちのため。私も抗議に参加してきました。

デモ
デモに参加する学生たち

会場は町の中心部にあるKronprinzplatz。ここはちょうど州政府オフィスの目の前ということもあって、この授業料の導入を積極的に推進してきたテレジア・バウアー学術・研究大臣(緑の党)本人に直接声を届けたいという意図で選ばれた場所です。開始時間の12時前から、学生が少しずつ集まってきて、中にはプラカードなどをその場で作っている人もいました。それと同時に、南西ドイツ放送や南ドイツ新聞、シュトゥットガルト新聞などの地元メディアもそれぞれの場所に陣取ります。ほどなくして、記者たちはカメラを回し、学生へのインタビューを始めました。会場は静粛ではありますが、一種の緊張感に包まれていました。

12時ちょうどに、参加者は舞台の前に集まり、各団体やグループの代表が演説を始めました。冒頭でデモの発起人クルト・シュティーグラー氏がバウアー大臣を名指しで「人種差別者」だと強く非難。各大学や外国人留学生の代表もそれぞれの立場と論点を訴えました。SPDの元文化大臣も登場し「これはバーデン= ヴュルテンベルク州の不名誉です!」と緑の党を痛烈に批判しました。観衆からは絶えず拍手と「その通りだ!」との声が聞こえてきます。学生によるユニークなパフォーマンスもありました。バウアー大臣を演じる人はぐらぐらの椅子に座り、とうとう椅子が崩れ、大臣が倒れたという設定で、場を盛り上げていました。

行進
「授業料導入? 私たちは反対!」とプラカードを掲げて中央駅まで行進

2時間を越える演説の後、数百人の学生たちはリズムよく「Nein zu Studierengebühren!(大学の授業料導入にNO!)」という掛け声を出しながら中央駅へ行進しました。氷点下の気温の中、熱気あふれるデモでした。

郭 映南
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
www.kakueinan.wordpress.com
 
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