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ジャパンダイジェスト
Mo. 06. Jul. 2020

ポツダム郊外の日本庭園を訪ねて

隅々までほうきで丁寧に整えられた砂地と、青々としたカエデ。見頃を迎えているツツジやサツキが咲き誇る小道を進んでいくと、魚たちが泳ぐ小さな池、ほとりにたたずむ小さな四阿(あずまや)が姿を現します。「ここは日本?」と錯覚してしまうほど精緻(せいち)で美しい日本庭園、その名も「Japanischer Bonsaigarten Ferch」です。

ベルリンからポツダム中央駅まで鉄道で移動し、607番のバスに乗ること約30分。フェル・ミッテルブッシュ停留所から徒歩1分の所に、この私設庭園はあります。園内には、盆栽の展示場や日本茶が楽しめる茶屋、枯山水の石庭などが点在。松や桜、アジサイなど、日本人にとっておなじみの草木が四季を通して楽しめます。丁寧に手入れされた庭の景色は、圧巻というほかありません。

手入れの行き届いた小道と青々としたカエデ手入れの行き届いた小道と青々としたカエデ

この庭園は毎年11月初めから3月末までが冬休みで、4月初めに開園するのが常でしたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、例年より2週間以上開園が遅れました。現在は感染拡大防止のため、園内の同時入場者数を10人までに限定しているほか、マスク着用などの対策を行いながら開園しています。

池のほとりに立つ四阿(あずまや)池のほとりに立つ四阿(あずまや)

庭園の創始者であるティロ・グラーゲルトさんが植物に興味を持ったのは、わずか8歳の頃。以降40年に渡って、植物の栽培に携わってきたといいます。1993年に日本へ渡ったティロさんは、各地で庭園や盆栽に触れ、大変感動したそうです。その頃すでに、盆栽は伝統的な日本文化としてドイツでも受け入れられていましたが、彼が強く興味を持ったのは日本庭園の方。しかし当時のドイツ国内には、本格的な日本式の庭園はまだ存在していませんでした。

その後ドイツに戻った彼は、一からこの庭園を作り上げ、今年で開園21年を迎えます。そんなティロさんに、日々気を付けていることを伺ってみたところ、「庭園を常に清潔に保つこと」と話してくれました。「21年間、早朝から深夜までずっと植物の世話をしてきました。モチベーションを保つのはとても難しいですが、植物は手を掛けた分、きちんとリアクションが返ってくる。それがうれしくて、ずっと続けています」。

茶屋から枯山水の石庭を望む茶屋から枯山水の石庭を望む

今回の冬休みの間に、白いサツキの木と大きな庭石を日本から新たに輸入したそう。笑顔を浮かべながら穏やかな声色で話すティロさんですが、瞳の奥に潜む情熱がじわりと伝わってきます。最後に「今の夢は?」と尋ねると、彼は目を細めてこう言いました。「『借景』を作ること。日本では、庭園の向こうに山々が見えました。私はこの庭園で、それを作ってみたいんです」。庭園の外に広がる自然の景色を取り込み、風景としての庭を作り上げるというティロさんの挑戦。今後この美しい庭園がどうなっていくのか、楽しみです。

Japanischer Bonsaigarten Ferch:www.bonsai-haus.de

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(ダイヤモンド社)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし) ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
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