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Mi. 19. Jan. 2022

ドイツの風刺とユーモアに親しむ博物館

3月16日まで、フランクフルトのカリカチュア博物館で「Sowa HurzlmeierKahl - Weltfremde Malerei」と題した展覧会が開催されています。これは、ミヒャエル・ゾーヴァ、ルーディ・フルツルマイヤー、エルンスト・カールという3人のドイツ人芸術家の作品の中から、カートゥーンアートのみを集めた展覧会。ゾーヴァ氏は、日本でも訳本が出版されている『ちいさなちいさな王様』『キリンと暮らす クジラと眠る』などの挿絵を手掛けたほか、フランス映画『アメリ』で、主人公の寝室に飾られた絵やランプをデザインしたことで一躍有名になりました。

目の前に大聖堂、南にマイン川を望むカリカチュア博物館は、何世紀も前に建てられた古い建物を使用しています。今回の展覧会では、地上階のギャラリーに『アメリ』のために作られたブタの電気スタンドや、イヌとアヒルの絵など、2階のホールには絵やポストカード、オブジェなどの作品が展示されています。

エリザベスカラーをしている犬と白いクジャクの絵画
大ヒットしたフランス映画『アメリ』で主人公の寝室に飾られていた絵画

スープの上に浮かぶブタ、スケートをするウシ、行進するジャガイモなど、高度な技術と緻密なタッチで描き出される非現実的な世界は瞬時に見る者を惹き付け、まるで間違い探しをするかのように絵の細部にまで目を奪われてしまいます。特に印象に残ったのは、海をテーマにしたゾーヴァ氏の作品。形容しがたい空の色や作品によって微妙に異なる海の様子、波間に漂う船に乗った生き物たちは、1枚の絵であるにもかかわらず、まるでそこから物語が浮かんできそうなほど濃密で、思わず足を止めてじっくりと眺めてしまいました。

ゾーヴァ 氏のスープ豚
写実的な絵の中に、非現実的な世界が広がるゾーヴァ氏の作品

ギャラリーでは、作品を指差して大笑いしたり、クスクスと忍び笑いを洩らしたり、吹き出し笑いをする人の姿が多く見受けられました。本の挿絵のようにかわいらしい作品だけでなく、見ている方が戸惑うほど際どいもの、強烈な皮肉に満ちたもの、嘲笑的な作品まで、多彩なユーモアが織り成す笑いの世界に浸っていると、日本人の私にドイツの笑いが理解できるのかという懸念もどこへやら。絵という媒体が持つ視覚情報の簡潔さ、古典技法を駆使したユニークなモチーフで、時に愛らしく、時に辛辣に笑いの奥深さを伝えてくれました。

上階では、風刺芸術家集団「新フランクフルト学派」の作品を中心とした博物館所蔵の数々の風刺作品を常時入れ替えて展示。最上階にはラウンジと情報資料館があり、読書会や討論会も開かれています。ドイツの風刺とユーモアに特化したこの博物館は、ありきたりな芸術鑑賞にとどまらない“笑える”博物館です。

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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