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企画展専門の美術館

現在、フランクフルトのシルン美術館では「エスプリ・モンマルトル展」が開かれています(6月1日まで)。本誌952(2013年4月19日発行)号でご紹介した「オノ・ヨーコ回顧展」も催された同美術館の正式名称は、シルンクンストハレ(Schirnkunsthalle)。美術館と違って美術品を所蔵せず、常設展のないクンストハレでは、常に様々な企画展が行われています。

大聖堂とレーマー広場の間に位置するシルンクンストハレは、回廊のような細長いギャラリーとガラス張りのホールが特徴。今回の企画展では、ゴッホやピカソなど、1900年前後にモンマルトルで活動した芸術家の作品を集め、その時代のボヘミアンな生活を紹介しています。最初に、当時のモンマルトルの様子を収めた写真を多数紹介。有名なサクレクール寺院も建設中だったりと、現在とは異なる雰囲気の町並みに、昔を偲ぶことができます。また、アトリエや歓楽街が実際の地図上に示され、当時のモンマルトルへタイムスリップした気分で作品に浸ることができます。

吹き抜の様子
週末、円形ホールの2階では子ども向けワークショップを開催。
3階は企画展の展示ギャラリー

20世紀初頭のボヘミアンなパリと聞くと、お洒落なイメージがありますが、今回の企画展では、当時モンマルトルで活動した画家たちの作品を通して社会の陰の部分にも焦点を当てています。画家たちの描く街の風景、集う人々、画家同士の肖像画や自画像など、普段は世界中に散らばっている作品を「1900年前後のモンマルトル」という共通項で集めた特別展は、クンストハレ独自の視点と内容で鑑賞者の心を掴みます。絵画だけでなく、日本で人気のロートレックやスランタンのポスター作品も見応えがありました。

ロートレックやスランタンのポスター
ロートレックやスランタンのポスター作品も充実

ここでは常時いくつかの企画展を同時開催しており、このときはドイツ人芸術家トビアス・レーベルガーの個展も開かれていました。お目当ての特別展のついでに、同時開催の企画展で未知の芸術作品に触れるのも一興です。

また、ガイドツアーやイベントが充実しているのも魅力。私が訪れた日にも、専門家によるガイドツアーや子ども向けイベントが開かれ、解説に聞き入るグループや作品を模写する子どもたちの姿が見られました。ほかにもDJのパフォーマンスや音楽が流れる中、深夜まで芸術鑑賞をする「夜のシルン」というイベント、企画展に合わせてボヘミアンな衣装で参加するイベントもあり、毎月最終水曜日の夜には芸術家による映像作品の上映会も開かれています。工夫を凝らした企画で世界各地に所蔵されている芸術作品を集めて展示するクンストハレは、企画展ならではの面白さを常に提供しています。

www.schirn.de
ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。

 
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