私が好きなハンブルクの風景は、中央駅からダムトア駅へ向かう電車から見えるアルスター湖。その姿はとっても優雅な王女様のよう! このアルスター湖は、ハンブルク市内中心部にある、豊かな自然と都会の洗練された風景が溶け合った美しい湖です。水辺の遊歩道は市民や観光客の憩いの場所として愛されているシンボル的存在。もう一つ、そのアルスタ-湖を象徴するのが、通称「アルスター白鳥」と呼ばれる白鳥たちなのです。
外アルスタ-から遠くに見えるハンブルク
アルスターの白鳥は、ハンブルクの自由と繁栄の象徴として、数世紀にわたって大切に守られてきました。1664年には、白鳥を侮辱したり傷つけたりすることを禁じる法律も制定され、さらに1674年には白鳥たちの世話をする「白鳥の父」(Schwanenvater)という公式な役職ができました。これはハンブルク最古の行政職で、現在に至るまで続いています。現在の「白鳥の父」はオラフ・ニース氏が務めていて、親子2代にわたりアルスター湖の白鳥を管理しています。その主な任務は、けがをした白鳥の救助、ひなの保護、環境の整備や監視など。さらに白鳥たちの越冬宿舎への「お引越し」と、春の「帰還」もとても大切な任務です。
人懐っこい白鳥たち
毎年11月ごろ、「白鳥の父」とそのチ-ムが、約120羽の白鳥たちをボートで一羽ずつ捕まえ、外アルスター湖のより暖かい場所の池へ引っ越しをさせます。この引っ越しは、100年以上続く伝統行事となっています。白鳥たちはその越冬宿舎で守られながら、長い冬を過ごして春を待つのです。そして、毎年3月下旬〜4月ごろに再びアルスター湖に戻されます。帰還の日は、天候や白鳥たちの体調などのさまざまな理由から、ぎりぎりまで発表されないのですが、地元では「ハンブルクの春はアルスターの白鳥と共に始まる」といわれています。白鳥の帰還は、春の訪れを体現するニュースとして、地元のメディアにも取り上げられ、当日には多くの人々が約120羽の白鳥がアルスター湖にボ-トで誘導されながら放たれる様子を見に集まります。
5月になると、白鳥が卵を温める様子が見られます
白鳥たちが一斉にアルスター湖に散っていく様子は、毎年ニュースや動画などで紹介されていますが、私も今年こそ生で見たくて、毎日、帰還の日の公式発表を待っていました。しかし今年は、鳥インフルエンザ(特にガチョウの死亡例)が発生したため、白鳥の保護を優先し、開放が遅れています。外は新緑が芽吹き始めているのに、まだ冬の宿舎で、長い首をもっと長くして待っている白鳥さんたち。きっと5月には、アルスタ-湖にその優雅な姿を見せてくれていることでしょう。
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。



インベスト・イン・ババリア
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