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アーレンスブルク城

ハンザ都市同盟の港町であったハンブルクの市民は、古くから封建領主を持たない自由市民であったことを今なお誇りにしています。封建領主がいなかったということは、ハンブルクにはドイツ観光の代名詞とも言える古城は存在しないかというと、そうではありません。 実はハンブルクの中心地ではなく、近郊に足を延ばせば、小規模な城がいくつか点在しています。今回はそのうちの1つ、ハンブルク北東にあるアーレンスブルク城(Schloss Ahrensburg)をご紹介しましょう。

アーレンスブルク城
白壁が美しいアーレンスブルク城

中央駅から電車でリューベック方面に20分程行くと、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州の小さな町アーレンスブルクに到着。そこからバスに乗り、約10分程で緑の庭園とお堀に囲まれた白亜の城が見えてきます。隣の州と聞くと遠く感じられますが、ハンブルクから1日券で行ける範囲内にあるので、気軽に出掛けられます。アーレンスブルク城は4隅に塔を持つルネサンス様式の城で、16世紀後半にデンマーク国王から派遣されたランツァウ家の居城として建設され、その後はシメルマン家が譲り受けました。両家合わせて400年近くにわたって実際の住居として使用されていましたが、1955年からは博物館として公開されています。

観光名所として知られるドイツの城はどれも巨大で、「こんなところで人々はどんな生活をしていたのだろう?」と途方に暮れてしまいそうですが、アーレンスブルク城は小規模なので、かえって家庭的な生活の匂いを感じ取ることができます。美しく磨き上げられた板張りの床は400年前から変わっておらず、その保護のため、訪問者は靴の上からスリッパを履いて城内を見学します。日本人からすれば、まさに「家に上がった」という気分になるから不思議なものです。

各部屋には18、19世紀の調度品が配置され、当時の上流家庭の様子をうかがい知ることができます。展示されている食器はすべてマイセン。食器がお好きな方はお見逃しなく!

地上階のダイニングや庭に面したホールでは、博物館主催のコンサートなどのイベントが月に2、3回開催されているそうなので、そのような機会に訪れるのも良いかもしれません。また、結婚式やパーティー用に城内の部屋を借りることもできるそうです。

城の裏には小川が流れ、牧歌的な風景が広がっています。均整の取れたシンメトリーの白壁の建物は、周りの緑に映え、特に天気の良い日にはお堀にその姿が映り、幻想的な光景を作り出しています。

城の周りには牧歌的風景が広がっています
城の周りには牧歌的風景が広がっています

Lübecker Str. 1, 22926 Ahrensburg
www.schloss-ahrensburg.de
入館料:大人6ユーロ、
12歳まで2.50ユーロ

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?

 
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