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宗教改革500周年さまざまな記念行事に想う

10月31日は、マルティン・ルターがヴィッテンベルクの城教会に「95か条の提題」を貼り付けた宗教改革記念日。今年は500周年ということで、10月31日がドイツ全国で祝日となり、記念日を挟んだ前後1週間は、各教会でさまざまな記念行事が行われていました。

合唱団
オーケストラを中心に合唱団が向かい合う形で演奏しました

その中で、10月28日にレリンゲン教会で行われた「宗教改革500年祝祭コンサート」を聴きに行きました。プログラムの最初はJ.S. バッハのカンタータ80番「神はわがやぐら」。ルターは、ラテン語の聖書を民衆が読めるようにドイツ語に翻訳しましたが、讃美歌も、意味が分かって歌えるように、自らドイツ語の讃美歌を作曲しました。その中で一番有名なのが「神はわがやぐら」で、日本の讃美歌の中にも入っています。バッハはこのルターのメロディーと歌詞をモティーフに、カンタータを作曲しました。続くプログラムはメンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」。教会内で交響曲のような純粋器楽曲が演奏されることはまれですが、この曲は、もともとルター教会300年を記念して作曲されたものですから、まさに、この記念行事にふさわしい曲といえるでしょう。メンデルスゾーンは、ユダヤ人でありながらルター派に改宗しており、ルターの功績に寄せる思いは強かったのではないでしょうか。この曲の中でもルターの「神はわがやぐら」のメロディーが使われています。それにしても、同じオーケストラが演奏していたのですが、どちらかというと「伴奏」のカンタータの時と違って、交響曲になると、いきなり楽器の音がつややかになったのには驚きでした。最後はプーランクのグロリア。こちらはラテン語の歌詞です。プーランクはカトリック信者ですが、キリストをあがめる思いは同じ。カトリックとプロテスタントが敵対するのではなく、一致している部分に目を留めようとしたことがプログラムに記載されていて、主催者の想いの詰まったプログラム構成でした。

ルター像<
ミヒャエリス教会の脇に立つルター像

今年宗教改革記念日が全国的に祝日になったことを「カトリックの側からは、どういう想いで見ているのだろう?」と気になっていましたが、10月31日にミヒャエリス教会で行われた記念礼拝には、カトリックの司祭も招待されていて、この記念の年に、対立ではなく対話を求めようとしていることが感じられました。この日はテレビでも、関連の映画や番組が放映され、ニュースでも、各地の記念行事の様子が報じられていて、さすが、宗教改革発祥の国だと思いました。

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?

 
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