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ジャパンダイジェスト
Sa. 22. Feb. 2020

物語の世界を感じる2つのアートイベント

物語はどうやって生まれるのだろう、作家はどんな人なのだろう。小説を読む人なら、誰しも本を書いた作家について思いを巡らせたことがあるかもしれません。ハノーファー文化局がそんな読者の思いに応え、ハノーファー在住の作家を市民に知ってもらおうと企画したのが、イベント「文学スピードデート(Literarisches Speed Dating)」です。今夏からスタートし、11月に3回目が行われました。

作家紹介といっても、作家が前に立って聴衆に話をする「あなたは話す人、わたしは聞く人」という構図ではありません。このイベントには、一般の方50人と作家5人が参加。参加者10人+作家1人の計5グループに分かれて作家を囲んで輪になって座り、作家が著書を10分間朗読し、その後の10分間で互いに言葉を交わします。参加者は本の感想を伝えても良いし、雑談や質問をしてもOK。20分ごとに別の作家のところに行き、作家5人全員を身近に感じられます。いわゆるマッチングイベントと同じローテーションの仕組みのため、「スピードデート」なのです。

作家を囲んで和気あいあいの「文学スピードデート」作家を囲んで和気あいあいの「文学スピードデート」

参加して感じたのは、当たり前ですが、作家も「普通の人」であるということ。彼らはどこにでもいるような、おじちゃんおばちゃん、お兄ちゃんお姉ちゃんという感じで、この人があんなすごい小説を書いたのかと、本人を前にすると感動します。どこからどうやってお話が生まれるのか聞くと、答えはさまざま。「登場人物は自分の無意識の中から生まれてくるので、小説が完成してから実はモデルはあの人ではなかったかと思い当たることがある」、「歴史が好きなので、いろいろリサーチして面白そうなテーマを選ぶ」、「企画書を書いて出版社に提案し、編集者の意見を入れて変える。例えば殺すつもりだった人を、編集者が気に入ったので生き残らせたり」という回答もあれば、「お話づくりはファンタジーを広げること。それで金儲けできるんだから最高」という作家も。テーブルを囲んで顔を突き合わせ、ざっくばらんにいろいろ聞けてとても刺激的でした。小説やノンフィクション、絵本、演劇台本などの作家はハノーファーに300人ほどおり、スピードデートは今後も定期的に続けていくそうです。

話は変わって、シュプレンゲルミュージアム(Sprengel Museum)の展示「GORAIKO(御来光)」も一見の価値があるのでご紹介します。ニーダーザクセン財団のSPECTRUM国際写真賞の本年度の受賞者フィオナ・タンによる写真と映像の展示で、会期は1月12日まで(金曜日は無料)。特筆すべきは77分の映像「Ascent(上昇)」で、昔や現在の写真を151枚使って、富士山を崇拝する歴史を振り返りながら、日本人にとっての富士山の意味をあぶりだしています。英語と日本語のナレーションとドイツ語字幕が付いたこの映像は見応え十分で、日本人の私にとって懐かしくあるとともに新しい発見がありました。

フィオナ・タンの富士山の写真「GORAIKO(御来光)」フィオナ・タンの富士山の写真「GORAIKO(御来光)」

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。ジャーナリスト、法廷通訳・翻訳士。著書に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 

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