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Di. 27. Okt. 2020

福島に想いを寄せるアート展

2011年3月の福島第1原発事故が芸術家に与えた余波を紹介するアート展「As time goes by」が、9月6日~10月5日にハノーファー市庁舎の側のギャラリー・クーブス(KUBUS)で開かれます。340㎡の広い展示スペースに、日本やドイツ、韓国、ブラジルの芸術家たちが福島の原発事故から受けた影響を表現した作品が並びます。

「震災から3年が過ぎ、多くの人々にとって原発事故が過去のものになりつつある。しかし、個人的にも社会的にもその影響は続いており、いろいろな意味で変化のプロセスが起こっていると思う」と語るのは、キュレーターのフランク・フアマンさん。彼は、事故を風化させないようにとの想いから同展を企画。彼は人々に福島の現状に興味を持ってもらい、社会的責任とは何かを一緒に考えたいと願っています。

キュレーターのフアマンさんと、絵画を出展した文倉さん
キュレーターのフアマンさんと、絵画を出展した文倉さん

作品はオブジェから絵画、彫刻、インスタレーション、版画まで様々。福島原発の事故を受けて感じたことを、15人の芸術家たちが思い思いの素材と手法で形にしています。作品を観ていると、1つの事象をどう捉えるかは人それぞれだと感じます。今回の展示の大きな焦点は、原発事故後の「変化」ですが、併せてプラグマティズムや抑圧、過去の忘却などとどう向き合うかについても考えさせられました。

ハノーファー在住のアーティスト、文倉千恵子さんは岩絵の具を使った7点の絵画を出展。予期せぬ災害に出くわし、しばらくして少し落ち着くまでの心の軌跡を表現しており、7点目は真っ白です。文倉さんいわく、「これから、それからどうする。何が起こるか分からない。無の境地」なのだそうです。一方、キュレーターのフアマンさんは「発展段階」と題し、福島原発の事故までに世界各国で起きた様々な原発事故をインスタレーションで表現。暗闇の中でブラックライトを使って事故の段階を表した作品は、その空間に入ると原発の中にいるような気さえしてきます。

21日に作家クラウスディーター・ブルノッテ氏による著書『福島の桜吹雪』の朗読が行われるのをはじめ、期間中には芸術家によるトークやコンサート、歌、礼拝などのイベントが予定されています。また、休館日の月曜日にはキュンストラーハウスの映画館(Kommunales Kino im Künstlerhaus)で、日本や福島に関する映画が上映されます(有料)。広島市と姉妹提携を結んでいるハノーファー市では、福島原発の事故を知ったときのショックは大きく、その影響は今も続いています。「福島を忘れないでほしい」という被災者の願いに、この展示は応えようとしているのです。

火~金:11:00~18:00
土日:11:00~16:00
入場無料
www.kunstplan-hannover.de/staedtische-galerie-kubus.html

展覧会パンフレット
展覧会「As time goes by」のパンフレット

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。

 
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