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憩いの場、ハイナー湖とシラーハウス

ドイツは昔から褐炭と石炭の豊富な産出国で、その資源はこの国の工業の発展に大きく寄与してきました。しかし、褐炭による火力発電はガスによる火力発電の約3倍の二酸化炭素(CO2)を排出するため、環境に悪影響を与えるだけでなく、地域によっては電力供給が過剰になるなどの問題を抱え、さらに低炭素化を目指す政府のエネルギー政策の転換が進んでいることから、褐炭の利用は減少傾向にあります。

褐炭の豊富な産出地であったライプツィヒ南部は、旧東独時代には全世界における褐炭産出量の約10%を採掘していました。1990年代まで褐炭の大規模な露天堀りが盛んに行われていましたが、現在はその跡地が人造湖として生まれ変わり、週末には多くの人々で賑わう憩いの場となっています。1990年にライプツィヒ市は、かつての褐炭の露天掘りの跡地を湖に変えるプロジェクト「ノイゼーラント(Neuseeland=新しい湖水の地)」を立ち上げました。市民に憩いの場所を提供し、また新たな観光資源としてライプツィヒの魅力を高めることを目的に、計17の人造湖が整備される予定で、そのほとんどが2015年までに完成し、2060年にプロジェクトが完了する予定です。

その人造湖の1つ、ハイナー湖(HainerSee)も水上スポーツと憩いの場として、段階的な開発が進められてきました。湖畔にはカフェやレストランが建ち並ぶほか、ヨットや水上スキー、サーフィン、ビーチバレーボールなど様々なスポーツが楽しめるようになっていて、週末住宅やホテル、ペンション、キャンプ場などの宿泊施設も揃っています。それぞれの建物は水辺にあり、ボートやヨットで直接乗り付けることができるように建てられています。湖の広さは 560ヘクタール、水深は浅瀬で18メートル、一番深いところで49メートルに達します。全周15キロメートルの湖はサイクリングやジョギングにも最適です。

ハイナー湖畔に建つ週末住宅
ハイナー湖畔に建つ週末住宅

ハイナー湖沿いのカーンスドルフという村には、1686年に建てられた思想家フリードリッヒ・シラーゆかりの「シラーハウス(Schillerhaus)」があり、結婚式やパーティー用に貸し切ることが可能です。シラーは、生涯の親友であり、彼の最大の支援者であったクリスティアン・ケルナーとこの場所で何度も会い、それがシラーの人生を大きく好転させたと言われています。カフェもあり、地域のイベント開催時に中心会場として使われるだけでなく、地元の人々とハイナー湖畔で週末を過ごす人々が一緒に寛げるスポットとなっています。

天気の良い日に「シラーハウス」のカフェで寛ぐ人々
天気の良い日に「シラーハウス」のカフェで寛ぐ人々

ライプツィヒの湖の情報
www.leipzigseen.de

ミンクス 典子
福岡県生まれ。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の建築設計事務所に所属し、10年に「ミンクス.アーキテクツ」の活動を開始。11年よりライプツィヒ「日本の家」の共同代表。www.djh-leipzig.de
 
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