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森の中の農園ゲストハウス「ガーデン・ダイアローグ」

ランドスケープアーキテクトであり、庭師でもあるパトリシア・ガイヤー(Patricia Gayer)さんは、2002年にライプツィヒへ引っ越してきました。しかし彼女は、都会よりも郊外で生活することを望み、約1年間掛けてライプツィヒから東へ60km離れたライジング(Leising)という小さな村に、廃墟と土地を見付けて購入しました。その後、3階建ての建物を少しずつ改修しながら、まずはパトリシアさん自身が愛犬とともに移住し、その後庭の手入れを続けながら、昨年、この場所にゲストハウスをオープンしました。

庭からのゲストハウスの眺め
庭からのゲストハウスの眺め

近年、グローバリゼーションが進む一方で、ドイツではあえて地元に根ざした経済活動を行う「ローカライゼーション」を望む人々が増えているといいます。他国からわざわざ飛行機で運ばれてくる野菜をスーパーマーケットで買うのではなく、自分の手で畑に植えて育てた野菜を食べることを好む傾向が、特に若年層に広がっているのです。大量生産・消費される畜肉を排した食生活を送るベジタリアンや、一切の動物性食品を摂取しないヴィーガンも急増中。自ら菜食主義を実践するパトリシアさんのところには、現代の「消費社会」に疑問を抱きながら、環境問題に高い関心を寄せ、ライフスタイルを考え直そうという人たちが集まってきます。

パトリシアさん自らがゲストハウスで主催する3泊4日のガーデニング・セミナーでは、実際に農園の作り方を学ぶことができるだけでなく、「食」に関するアドバイスを受けることもできます。また、庭で摘んでくるハーブを使ったお茶会も、毎週日曜日に開催されています。森の中にひっそりと佇むゲストハウスは、新鮮な空気と鳥の鳴き声、昆虫の羽音にすっぽりと包まれています。ここで貸し出しているのは、シングルベッドルーム5部屋とダブルベッドルーム2部屋。共有のキッチンとセミナールームもあります。庭には花やハーブが溢れ、パトリシアさんは現在、野菜を植えるために、さらに周辺の土地の購入も進めています。

ガーデン・プログラムの参加者たち
中庭でパトリシアさんの話を聞くガーデン・プログラムの参加者たち

私は今回、仲間とともにライプツィヒで行われたガーデン・プログラムに参加し、日帰りでパトリシアさんを訪ねました。ゲストハウスへは、あえて車は使わず、電車とバスを乗り継いで森の中を片道3時間歩いてたどり着きました。ドイツ国内屈指の美しいランドスケープで有名なライジングには、サイクリングやハイキングのコースが充実しており、多くの人々に愛されています。家族や友人との休暇に、また会社の社員旅行やワークショップを行うのにお勧めのスポットです。
www.gartendialoge.de

ミンクス 典子
福岡県生まれ。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の建築設計事務所に所属し、10年に「ミンクス.アーキテクツ」の活動を開始。11年よりライプツィヒ「日本の家」の共同代表。
www.djh-leipzig.de
 
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