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ドイツで過ごす母の日 日本との文化の違いも

5月の第2日曜日は母の日でしたね。日本でもドイツでも母親へ感謝する日として親しまれているこの日は、20世紀初頭に米国のフィラデルフィアに住んでいたアンナ・ジャーヴィスという女性が始めた運動がきっかけになったのだそうです。カーネーションをプレゼントする習慣は、母親の追悼会でアンナが母親の大好きだった白いカーネーションを配ったことが始まりといわれています。

日本に住んでいたころ、この時期には花屋の店頭でカーネーションの鉢植えやフラワーアレンジメントをよく見かけました。ところがドイツではシーズンではないためなのか、カーネーションを見ることはあまりありません。代わりに市場やスーパーの花売り場では、キュートな文字で「Liebe Mama!」とメッセージが書かれた、菊のフラワーアレンジメントを見かけます。

菊の花が入ったアレンジメント菊の花が入ったアレンジメント

日本で菊といえば、長持ちして枯れづらい花、さらに邪気払いの花といわれ、仏花として仏壇に供えることが多いイメージですよね。そのためドイツに来た当初はとても驚きました。

本来、菊が自然に咲くのは10月以降の秋の時期ですが、なぜシーズンではないこの時期に、母の日用としてアレンジされているのでしょうか。その理由は、菊は英語で「クリサンセマム」(Chrysanthemum)といい、通称「マム」(Mum、お母さん)とも呼ばれているからなのです。日本で日本語教師をしていたころは、初めて外国から日本に来た生徒たちには「スーパーマーケットなどの店頭で売られている菊の入った花束は、仏壇に供える用のもので、プレゼント用ではない」ということを伝えていました。相手を喜ばせるつもりの贈り物が、文化の違いでうまく理解してもらえなかったとしたら、それはとても残念なことですよね。

さて、ドイツでは花束のほかにどんな母の日の風習があるのかを調べてみると、チョコレートやお酒などの贈り物も多いようです。また、レストランで食事をするというのも上位にありました。わが家では私の強い希望により、母の日には、この時期にしか食べられないシュパーゲル(白アスパラガス)を食べに行くことが恒例になっています。

シュパーゲル料理を堪能シュパーゲル料理を堪能

今年私が注文したのは、定番のシュパーゲルのオランデーズソースがけ。私がドイツ料理の中で最も好きなものの一つです。シュパーゲルとジャガイモ、それにイチゴまで、まさに春の魅力全てが載った一皿でした。甘くてジューシーなシュパーゲルと濃厚なソースを思う存分に楽しみ、家族での会話も弾みます。そしてレストランの外に広がる景色を眺めながら、明るく陽気な季節の訪れをうれしく思いました。

気持ちの良い季節になってきました!気持ちの良い季節になってきました!

グリュッツマン 貴子( たかこ )
おんせん県出身。ドイツ人の夫と、二人の子どもと日独いいとこどりの暮らし。趣味は、( こうじ ) を醸して発酵調味料を手作りすること。世界各地に住む日本人の醸し人仲間たちと共に、糀の可能性を研究する「伝統食クリエイター」としても活動。台所はいつも実験室のようになっている。

 
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