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メーゼベルク宮殿で閣僚会議
エネルギー、年金問題などで合意

連邦政府の迎賓館であるブランデンブルク州のメーゼベルク宮殿で、1月22、23日の2日間にわたって閣僚会議が行われ、エネルギー政策や年金改革などについて話し合われた。ヴェルト紙が伝えた。

今回の会議で最重要議題となったのは、再生可能エネルギー法の改革。連邦政府は2050年までに電力の80%を再生可能エネルギーで賄うことを目標に掲げているが、電力料金の値上がりに直面し、ガブリエル経済相(社会民主党=SPD)は再生可能エネルギーの助成金の見直しを求めている。加えて、欧州委員会からもドイツの産業への助成措置を問題視する声が上がっている。

これに対し、バイエルン州、バーデン=ヴュルテンベルク州の両州は、エネルギー問題に関しては連邦と州による合意が形成されなければならないとして、双方のエネルギー問題担当大臣が集う会合を定期的に招集するべきであると主張。ガブリエル経済相もこれに同意した。

また、もう1つの主要議題として注目を集めたのが年金改革。年金保険料を45年納付していた場合に63歳から年金を受給でき、失業期間の5年間も納付期間に換算されるというものだが、1992年以前に出産した母親に対して育児休暇期間分の給付金を年金に上乗せする母親年金の導入と併せて、各方面から非難が集中。これに対し、同改革を主導するSPDは、高齢者に公正で豊かな晩年を送ってほしいとして、その意義を強調している。

その他、議題に上ったのが、今年各地で開催予定の地方自治体選挙について。今年は3月16日にバイエルン州で地方自治体選挙が予定されているが、自由有権者同盟およびドイツのための選択肢などの野党勢力の拡大がキリスト教社会同盟(CSU)の立場を脅かすことが懸念されている。

また、5月25日には欧州議会選挙が実施されるほか、ノルトライン=ヴェストファーレン州、バーデン=ヴュルテンベルク州など数州で地方自治体選挙が行われる。さらに8月31日にはザクセン州、9月14日にはブランデンブルク州とテューリンゲン州でも州選挙を控えているなど、選挙が目白押しとなっており、大連立政権への支持を測る指標になるとみられている。

 

政府、SPD主導の年金受給年齢引き下げ案を承認
経済界などから批判の声

連邦政府は1月30日、年金受給年齢の63歳への引き下げを盛り込んだ年金改革案を承認した。これに対し、経済界などから批判の声が上がっている。

ドイツの年金制度では、これまで65歳とされていた受給年齢を段階的に67歳に引き上げていくことになっていたが、社会民主党(SPD)および左派党がこれに反対していた。このたび、SPD主導で導入が決まった年金受給年齢の引き下げ案は、45年間年金保険料を納めていた場合に63歳から年金を受給できるというもので、納付期間が45年に満たなかった場合も65歳から受給が可能になる。

メルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU)は同案について、「高齢者や病気の人など、社会的弱者に配慮したもの」と説明している。一方、ドイツ商工会議所のヴォルザイファー所長は、「高齢の熟練労働者の労働力が必要とされており、部分年金と組み合わせた柔軟な年金制度こそが求められる」と発言。また、シュレーダー元首相(SPD)は自著の中で「年金受給年齢63歳の導入は、根本的な問題解決にはならない」と批判している。

 

DBのチケット販売方法に問題?
連邦カルテル庁が調査へ

ドイチェ・バーン(DB)が、民営鉄道のチケット販売を不利にしているとの批判が持ち上がり、連邦カルテル庁が調査に乗り出した。1月31日付のヴェルト紙が伝えた。

現在、駅構内のDB窓口では民営鉄道のチケットは販売されておらず、民営鉄道会社が同窓口で販売する場合、DBに高額の手数料を支払う必要があり、チケット販売において不利な立場にあると指摘されている。民営鉄道会社ヴェオリアの担当者が「我々の事業規模は、駅に独自の窓口を設けるには小さ過ぎる」と主張する一方、DBは「ルフトハンザがライアンエアーやイージージェットの航空券を販売しないのと同じことだ」と反論している。

 

大連立、移民政策をめぐり議論
CSUの覚書に非難が集中

今年1月1日からルーマニアとブルガリアからの移民に対して労働市場が完全に開放されたことを受け、キリスト教社会同盟(CSU)が手厚い社会保障制度による生活保護の受給を目的にドイツへ来る「貧困移民」の急増に警鐘を鳴らし、物議を醸している。4日付のヴェルト紙が伝えた。

論議の火種となったのは、CSUが年明けに発表した「詐欺を働く者は飛ばされる」と題された覚書。その中でCSUは、新政権はEU市民の権利である域内移動の自由を濫用し、ドイツに来て職に就くことなく生活保護受給する、いわゆる「社会保障詐欺」を働いた移民に対して、再入国禁止などの罰則規定を設けるべきと主張している。また、ブローク欧州議会議員(キリスト教民主同盟=CDU)は「社会保障詐欺師」の再入国を防ぐため、ルーマニアとブルガリアからの入国者の指紋採取を提唱した。

これに対し、野党・自由民主党(FDP)のリントナー党首は「CSUは支持者に話のネタを提供したいか法的基盤を知らないかのどちらかだ。移民流入を警告するのではなく、受け入れ体制を整えることが必要」とコメント。CSUの母体であるカトリック教会の慈善福祉団体カリタスのネーアー代表も、「経済的に豊かでない南・東欧諸国の人々も、故郷以外の場所で自身と家族のために生きる手段を探している」とした上で、CSUの主張は大衆扇動的で移民に対する偏見を助長するものだと非難している。

内務省の統計によると、国内に616万人いる長期失業者向け生活保護手当ハルツ4の受給者のうち、ルーマニア人は1万8000人、ブルガリア人は2万人で、合わせても受給者全体のわずか0.6%。同手当や児童手当などの社会保障が彼らによって濫用されている事実は報告されておらず、ネーアー氏は「貧困国からの移民の大多数が就業していることを無視してはならない」と主張する。

一方で、移民が集中する地域の自治体の負担増が問題となっていることから、連邦・州による支援強化が不可欠との声も上がっており、CDU・CSUと社会民主党(SPD)は内務省と外務省、労働省の次官らから成る移民問題の作業部会設置を決定。想定される社会保障制度濫用への対策の必要性や内容について話し合うとしている。

 

法相、個人情報関連法案作成を見送り
与党内から批判の声

昨年末に発足した大連立政権で法相に就任した社会民主党(SPD)のマース氏が5日、個人情報の収集・保存について、関連法案の作成を当面見送る方針を明らかにした。

犯罪防止を目的とした個人の通信・通話記録の収集・保存に関しては、キリスト教民主・社会同盟(CDU)とSPDが連立交渉で合意し、大連立協定書にも盛り込まれた。しかし、マース法相は「同政策がEU市民の権利を侵害し得るか否かについて、欧州裁判所の最終的な判断が下るまで法案を作成しない」と主張。これに対し、CSUのウール内政担当やデメジエール内相(CDU)は、「大連立協定書で合意したことは順守すべき」と非難している。

 

EUの個人情報の収集・保存めぐり論議
プライバシー侵害の可能性

犯罪防止を目的とした個人の通信データの収集・保存をめぐり、欧州連合(EU)の方針が変更される可能性が浮上している。13日付のヴェルト紙が伝えた。

EUの規定では2006年以降、具体的な嫌疑がない場合でも電話会社の通信記録が2年間保存されることになっている。しかしこの規定について、欧州裁判所の鑑定人は通信記録の保存期間が長過ぎるなど、プライバシーの保護に関するEUの基本権に抵触する可能性を指摘している。

一方、ドイツの次期大連立政権は、データの保存期間を3カ月に縮小し、開示は重犯罪に関わる場合と裁判官の許可を得た場合に可能にすることを検討している。

 

国際学力到達度テストでドイツが上位にランクイン
優秀な生徒への支援不足を懸念する声も

経済開発協力機構(OECD)による国際学力到達度テスト(PISA)の最新結果が3日発表され、ドイツが上位グループにランクインした。ヴェルト紙が伝えた。

PISAは2000年以降、3年に1度実施されており、各加盟国の15歳の生徒の学力を数学、読み書き、自然科学の科目で比較している。2000年のテストで、ドイツが下位にランクインしたことが大きな社会問題となって以降、教育制度の見直しが叫ばれてきた。今回の調査結果では、数学が514点とOECD平均を20ポイントも上回り、読解力が508点(OECD平均496点)、自然科学が524点(同501点)と軒並み高得点を獲得した。

成績向上の理由として、社会的に学習環境に恵まれない子どもたちの能力向上が挙げられた一方、ドイツ教師会連盟のクラウス会長は、「学習能力の劣る生徒の支援に力が入れられている一方で、能力の高い子どもたちの力をもっと伸ばそうとする働き掛けが弱い」と指摘。「ギムナジウムだけでなく専門職分野においてもエリート育成制度が必要である」と述べている。

 

財政難を抱える都市が増加
都市と地方の経済格差が拡大

キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)の3党が11月27日、大連立政権協定に合意し、第3次メルケル政権が発足する見通しとなった。ヴェルト紙が伝えた。

英コンサルティング大手EYが11日発表した調査で、ドイツでは好景気と税収増にもかかわらず、深刻な財政難に陥っている都市の数が2010~12年の間に14都市から21都市に増えたことが明らかになった。

調査対象となった国内72都市の負債総額は、2010年に448億ユーロだったが、12年には7%増の479億ユーロに。最多の負債を抱える都市はエッセンで、32億4000万ユーロ。一方、住民1人当たりの負債額が最も多いのはオーバーハウゼンとオッフェンバッハだった。全体として裕福な都市と財政難の都市の経済格差が広がっており、「貧富の二極化が生まれている」と指摘されている。

 

第3次メルケル政権が発足
SPD、大連立政権を承認

大連立政権への是非を問う社会民主党(SPD)の党員投票の結果が14日集計され、75%の賛成票を得てキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との大連立政権を承認した。これにより、9月の連邦議会選挙から3カ月を経て第3次メルケル政権が発足した。ヴェルト紙が伝えた。

新政権発足の決定を受けて、閣僚の顔ぶれが発表された。その中で、最も驚きを持って迎えられたのが、フォン・デア・ライエン氏(CDU)の国防相就任。同氏はこれまでにもメルケル政権で家庭相、労働相を歴任した人物で、今回ドイツ史上初の女性国防相誕生となる。これにより、これまで国防相を務めていたデメジエール氏(同)は内相に、そしてフリードリヒ内相(CSU)は農業相へとポスト替えが行われる。今年5月に発覚した無人偵察機の購入に関する問題などで批判の矢面に立たされていたデメジエール国防相が、今回の人事に対してどのような反応を示したかについてメルケル首相は、「各人が各任務に対し、情熱を持って取り組もうとしている」と回答した。

このほか、交通相にはCSUのドブリント幹事長が就任。CSUが推進する普通乗用車に対するアウトバーン通行税導入の行方が注目される。財相は大方の予想通り、ショイブレ氏(CDU)が続投。保健相にはCDUのグレーエ幹事長、首相府長官にはアルトマイヤー環境相(CDU)が就任する。

なお、連立パートナーのSPDからは、ガブリエル党首が経済相とエネルギー相を兼任する「スーパー大臣」のポストに、外相にはシュタインマイヤー氏が就任する。同氏がこのポストに就くのは2度目。社会相には、SPD幹事長のナーレス氏が、家庭相にはメクレンブルク=フォアポンメルン州の社会相、シュヴェーズィヒ氏が抜てきされた。

このたびの閣僚人事について野党・緑の党のホフライター院内総務は、ラムザウアー交通相の後任に同じCSUからドブリント氏が選ばれたことについて、「交通相の任務をポピュリスト的政治家に任せるべきではない」とコメント。また、ガブリエル氏が経済とエネルギー問題を同時に担当することに対して「非常に興味深い」と皮肉り、「大連立政権は刷新や将来性よりも大手電力会社の関心事を重んじている」との批判を展開している。

 

国民の半数、不健康食品の規制を希望
極右・極左政党の禁止も

アレンスバッハ世論調査研究所が11月20日発表した「ドイツ自由インデックス2013」によると、国民の大多数が、不健康な食品や極右政党などを法的に取り締まってほしいと希望していることが明らかになった。

調査結果によると、不健康食品や極右政党の法的禁止を望む人は全体の半数以上で、極左政党の禁止を望む人の割合は42%。2人に1人は、残酷なシーンが含まれる暴力映画やビデオの規制を希望している。さらに3人に1人が、すでに借金を抱えている人への新たな貸し付けを禁止すべきとしており、5人に1人が賭博やアルコール度数の強い酒類の販売に制限を設けるべきと主張している。

 

ヘッセン州でCDUと緑の党が連立交渉へ
争点はフランクフルト空港の拡張工事

ヘッセン州議会で11月22日、キリスト教民主同盟(CDU)が緑の党と連立交渉に入ることを全会一致で決議した。連邦議会選挙と同じ9月22日に実施されたヘッセン州議会選挙で、CDUは第1党となったものの、単独過半数を獲得できず、社会民主党(SPD)および緑の党と連立協議を重ねていた。今回の決定に対し、同州SPDのシェーファー=ギュンベル代表は遺憾の意を表明しつつも「野党としての立場を積極的に貫く」と言明。左派党と緑の党との3党による連立の可能性を否定した。

連立交渉における最大の争点は、フランクフルト国際空港の拡張工事。CDUが経済効果と雇用創出をもたらすものとして、同計画を積極的に推進している一方、緑の党は騒音対策と夜間飛行の禁止、さらに第3ターミナルの建設中止を主張している。このように両党の意見が食い違っているため、今回の連立交渉開始のニュースを受けて、空港事業会社フラポートの株価は3.6%急落した。

CDUと緑の党の連立政権は、州レベルでは2010年にハンブルク市(州と同格)で初めて成立している。

 

国内の年金受給者の生活、高水準
高齢者の貧困は加速の恐れ

経済協力開発機構(OECD)が11月26日発表した調査結果で、ドイツの年金受給者の生活水準は、ほかの先進工業諸国に比べて高いことが明らかになった。

調査によると、ドイツでは高齢者が若年層よりも医療・介護において安定した保障を受けており、貧困の危機にさらされている年金受給者は10人に1人。この割合は、スイスや米国、日本では2倍に上る。

一方、国内の就業者数は7年前と比べて4150万人増加しており、ミニジョブなどの低所得労働に就く人も増えていると指摘されている。OECDによれば、今後ドイツでは高齢者貧困層の割合が急速に増加する恐れがあるという。

 

大連立政権が発足へ
最低賃金導入など、SPDの意向を強く反映

キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)の3党が11月27日、大連立政権協定に合意し、第3次メルケル政権が発足する見通しとなった。ヴェルト紙が伝えた。

9月22日に実施された連邦議会選挙からおよそ2カ月に及ぶ連立協議を経て、大連立協定が成立。メルケル首相(CDU)とCSUのゼーホーファー党首、SPDのガブリエル党首が連立協定に調印した。「ドイツの未来をつくる」と題された協定書には、SPDが選挙公約として掲げていた全国一律の最低賃金を2015年から導入することや、年金保険料を45年以上納めた人に対し、63歳から年金を支給すること、パートタイム労働の規制や、将来的にドイツで生まれた外国人家庭出身者に、生涯二重国籍を認めるとした二重国籍法の改正案などが盛り込まれている。

SPD指導部は「連立協定は、社会的弱者のための協定」と強調。ノルトライン=ヴェストファーレン州のクラフト首相(同)は、「SPDは私が当初予定したよりも多くの要求を通すことができた」と述べており、実際、選挙では得票数を減らしたにもかかわらず、大連立協定ではSPDの意向が色濃く反映された内容となっている。

一方、CDU・CSUが主張していた「増税は行わない」という案は通され、SPDが要求していた高所得者への増税は却下となった。185ページに及ぶ協定書に対して、経済界からは「はっきりしない内容」と批判が集中。野党からも「財政的に実現不可能」との声が上がっている。メルケル首相は公共放送ZDFのインタビューに対し、「私には未来を予言することはできないが、新たな赤字を作らないという目的は非常に高い優先事項だ」と述べている。

東西ドイツ統一以来3回目の大連立政府となるメルケル政権は、これから実施されるSPD党員の意見投票の結果を待って成立することになる。党員投票は12月14日に集計される予定で、過半数の賛成を獲得できれば、それが大連立政権へのゴーサインとなる。

組閣が発表されるのはその後で、12月中旬の予定。CDUとSPDからは各6人、CSUからは3人の閣僚が選出される見込みとなっている。

 

大連立、年金保険料率の引き下げを阻止する見通し
経済界、野党から批判の声

2013年末に予定されていた年金保険料率の引き下げが、次期大連立政権によって阻止される見通しが強くなっている。5日付のヴェルト紙が伝えた。

年金保険料による歳入が黒字を記録していることを受け、保険料率が今年末から0.6%引き下げられることになっていたが、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)は現行の18.9%を維持する方針を打ち出している。これにより、60億ユーロに上ると見られていた企業側の負担軽減もなくなる。次期政権は、母親年金や、長年年金保険料を払い続けていたにもかかわらず、受給額が低い人向けの補助年金の導入などの改革を視野に入れており、今回、年金保険料率引き下げを見送り、300億ユーロに上る財源をその改革に充てたい意向だ。

同案に対しては、大連立政権の労働・社会問題作業部会メンバーである中間所得者連合(MIT)のリンネマン代表が「年金制度そのものの崩壊を招く危険性がある」と批判。経済専門家からも懸念の声が上がっているほか、左派党は「中間所得層に対する窃盗行為だ」と非難している。

 

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