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So. 25. Okt. 2020

ドレスデンの日曜画家 クーベ氏の水彩画

18世紀以前のドイツ、フランス、スペインの有名な画家(アルテ・マイスター)の作品を所蔵するアルテ・マイスター絵画館のショップの一角にはドレスデンコーナーがあり、この町にちなむ写真集やカレンダーが並んでいます。その中で、優しいタッチで描かれた、水彩画のカレンダーに目が留まりました。ドレスデン市内やエルベ川沿いのピルニッツ宮殿、郊外のモーリッツブルク城など、なじみのある風景を描いた絵。その中の1枚、ラーデボイルの街並みを見た娘が興奮気味に「友達と行った時に偶然この絵を描いている画家を見た!」と言うではありませんか。カレンダーに掲載されていた連絡先を頼り、取材を申し込みました。

日曜画家のシュテフェン・クーベ氏のご自宅はアトリエを兼ねていました。素敵なアンティークの家具がバランス良く配置された室内には、いたるところにご自身の作品が掛けられており、さながら小さな美術館のようです。キッチンのある小さなダイニングルームは北向きでアトリエの採光としては都合が良く、作業中のテーブルの上には絵の具や筆が置かれています。

クーべ氏
自身の作品が並ぶ居間にて

1958年ドレスデン生まれのクーベ氏は小学生の頃からずっと、好んで絵を描いていました。ギムナジウム時代、美術の先生との出会いで本格的に絵に目覚めたとのこと。しかし本職はエンジニア。ドレスデン工科大学ではエレクトロニクス技術を専攻し、卒業後は開発技術者として東独最大の電子機器製造「人民公社ロボトロン」で働き、ドイツ統一後の92年にはコンピューターの知識を買われて友人の建築事務所に務めました。大学入学後は仕事が優先される生活のために年に1枚のペースでしか絵を描き続けられませんでしたが、98年には画家として高名なシュレーゲル教授の教える市民講座で水彩画コースに参加。仕事と並行して本格的に絵の活動をスタートしました。週に1回のコースでしたが毎回4、5時間の講習だったそうです。当初、色を使うことに用心深かったクーべ氏に、シュレーゲル教授は色に対して大胆な姿勢を持つことも教えました。

クーべ氏
アトリエ兼キッチンにて作業するクーべ氏

クーベ氏の描く絵は風景画で、基本的には戸外で地面に画用紙を置いて描きます。寒い冬は風景を写真で撮影して自宅のアトリエで描きますが、そうすると雰囲気が失われてしまうとのこと。戸外では小鳥のさえずり、草花のにおいなどを通して立体的に風景を捉えることができますが、写真だと単なる視覚的な情報としてしか伝わってこなく、そこから絵を仕上げることに限界があるようです。「絵を描くということは、画家の体を通して目の前に広がる現実を翻訳することです、これは難しい」と語る、クーベ氏の画家としての道はまだ続きます。

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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