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日本人アーティストによる展覧会

「舞台裏に隠れた世界――隠された答え」。何とも意味深なタイトルを冠したモダンアートの展覧会が、4月11日~29日にかけてハンブルクで開かれました。同展を企画したのはベルリン在住のアーティスト、近藤愛助さん。彼は昨年5月中旬に、いち早く3.11東日本大震災をテーマにした展示会を同地で開催した後、「この問題はこれで終わりではない。これからそれをどのように捉え、考えていくか。今後の方がより重要である」と考え続けてきたとのこと。まだまだ模索中なので、今回は「これが答えです」と提示するのではなく、「来場者1人ひとりに、何かを考えるきっかけを提供したい」という願いから同展を企画したそうです。展覧会のチラシには、こう書かれています。「2011年3月11日の震災後の時間を振り返る時、あなたは何を考えますか? 原子力の現存と将来に関してだけでなく、人間性の在り方や、1人ひとりの人間の生き方に関する反省でしょうか?」

日本人アーティストによる展覧会
今回の展覧会で展示された作品

そんな近藤さんの想いに共感したハンブルク在住のアーティスト、綿引展子さんが会場をアレンジし、今回の展覧会が実現しました。会場となったのは、「アーティストハウス・フリーゼ(Künstlerhause FRISE)」。アーティストハウスとは、複数のアーティストのアトリエとギャラリーが一体となった施設のことで、ハンブルクにはこのような施設が複数あります。フリーゼはその中でも最古、最大規模で、住居も兼ね備えています。現在、ここには10人のアーティストが居住し、アトリエの利用者は40人にも上るそうです。アーティストハウスとして買い取られるまでは、美容院の関連用品の製造工場だったことから、FRISE という名が付けられたのだとか(ドイツ語では美容院のことをFriseur と言います)。

最終日の4月29日には、被災地に留まって復興を支援する若者たちの姿や、ボランティアとして訪れた人々の活動の様子、心の葛藤などを撮影したドキュメンタリー映画「手の中の武器」も上映。用意された椅子が足りなくなるほどの人が訪れ、このテーマに対する関心の高さをうかがわせました。

日本人アーティストによる展覧会
展覧会を開いた近藤愛助さん(右)と綿引展子さん

「時とともに風化させるのではなく、今後もこのテーマについて考え続けていきたい」と語る近藤さん。「でも、できれば次回は企画をほかの方にお願いして、1人のアーティストとして参加し、制作に集中したい」とも。彼の今後の活躍が楽しみです。

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエ ス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
 
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