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「本の子ども」プロジェクト

2001年に設立された「ライプツィヒ本の子ども(Buchkinder Leipzig e.V.)」は、4~18歳の子どもたちが週に一度絵を描き、クリスマス前に1年間掛けて集めた絵を、ストーリーを付けて絵本にまとめ、製本するプロジェクトです。アーティストや芸術学科の学生がサポートしますが、作業は基本的に子どもたちが自分の意志で行います。

ほとんどの絵は版画で刷られ、テキストは子どもたちがパソコンで打ち込む場合もあれば、イラストとしてそのまま描くこともあります。まだ字が書けない子どもたちに対しては、大人がコミュニケーションを取りながら手伝う必要がありますが、言葉を教えるのではなく、子どもたちが感じたことを自由に表現できるよう配慮しています。このプロジェクトは子どもたちにとって、描くという行為だけでなく、「言葉」を通じて自分の考えや思いを表現する大切な教育の場にもなっています。さらに、1年間掛けてまとめた成果は工房で製本され、出版されます。そのため、活動が内輪にとどまることなく、子どもたちは自分の作り上げたものが実際に販売されるという本格的なプロセスを体験できるのです。

楽しそうに作業している子供達と先生
自由に絵を描き、版画や工作を楽しむ子どもたち

プロジェクトの本拠地はライプツィヒ西部にあり、毎週火・木曜の午後に絵画制作の場所を提供しているほか、東部にも、毎週金曜の午後に制作スペースを開放している支部があります。さらに毎年3月に開催されるライプツィヒ書籍見本市では、子どもたちのための版画体験コーナーを設けています。

さらに今年の夏には、2005年から計画が進められてきた「本の子ども幼稚園(Buchkindergarten)」も、ようやく完成しました。この幼稚園がある市内西部のヨーゼフ通り()一帯は、1990年の東西ドイツ統一以降、産業が衰退していった影響で人口が著しく減少し、荒れ果てていました。そこで市民団体が率先して、ごみの溜まり場となっていた空き地を「隣人の庭(Nachbarschaftsgarten)」として地域に開放したことをきっかけに、ヨーゼフ通りには再び人が住み始めました。

大きなオープンウィンドウと真っ赤な壁のモダンな建物
今年の夏に完成した「本の子ども幼稚園」

幼稚園の建設に当たっては、若い世代の親たちが毎日の子どもの送迎の際、ヨーゼフ通りを行き来することで、子どもにとって住み良い環境であることに気付き、当地へ移り住んでもらうことを意図していました。それよって、この通りをさらに活性化させようという計画だったのです。8年という長い年月を経て幼稚園が完成したことで、「本の子ども」は今後、ますます子どもたちに愛される場所となることでしょう。

本の子ども: www.buchkinder.de
本の子ども幼稚園: www.buchkindergarten.de

ミンクス 典子
福岡県生まれ。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の建築設計事務所に所属し、10年に「ミンクス.アーキテクツ」の活動を開始。11年よりライプツィヒ「日本の家」の共同代表。www.djh-leipzig.de
 
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