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国際ソロダンス・シアター・フェスティバル

シュトゥットガルトという街は、クラシックバレエの世界では特に有名ですが、前衛的なダンスでもその名を馳せていることをご存知ですか? それを象徴するのが、年に一度の国際ソロダンス・シアター・フェスティバルです。今年で16回目を迎えたこのモダンダンスの大会が3月15~18日、ローテビュール広場(Rotebühlplatz)の市民会館で行われました。昨年11月の予選を通過したダンサーと振付師が世界各国から集結。1日6人ずつ、計18人が3日間掛けて2次予選を行い、そこを勝ち抜いた8人が、最終日の決勝に進みました。

与えられた時間は1人12分。振付はここ1年以内に出来上がった新作でなければなりません。舞台はソロというだけあって、ダンスの技とセンスのみならず、ダンサーの体力と気力も問われます。ハイレベルな大会となりましたが、アーティストたちのアイデアはどれも斬新で、目を見張るようなものばかり。観客にモダンダンスの美学や身体表現の新たな可能性を見せてくれました。今年の傾向としては、あまり小道具を用いず、派手な照明も抑えた控えめな舞台で、世界の時事問題をテーマにした作品が多かったように思います。イラク戦争から環境破壊、原発問題まで、振付師の想像力とそれを表現するダンスという芸術の奥深さに感心させられました。

シュトゥットガルト
5年前、実際に鑑賞したときの同フェスティバルの舞台

最終的に、完璧な操り人形の舞踏を披露したカナダ出身で英国に拠点を置くEleesha Drennan さんがダンス部門、一風変わった舞台セットと純粋なアフリカ音楽を使用したチャド出身のRodrigue Ousmane さんが振付部門、CG の動きを連想させるようなダンスで観客を魅了したポルトガル出身のHugo Marmelada さんが観客部門で、それぞれ最優秀賞を獲得しました。参加者の中には米国生まれの日本人ダンサー、高瀬譜希子さんの姿も。高瀬さんは「核のロマンス」という演目で、原子力発電に対する複雑な気持ちを表現していました。

毎年3月中旬に開催されるフェスティバルのチケット発売は、開催年の2月1日に始まり、3月に入ってからではなかなかチケットが入手できません。しかし嬉しいことに、インターネット上で舞台の実況中継が行なわれます。実は私も今回、ネットで鑑賞していました。画質は少々粗いですが、まるで会場の最前列に座って鑑賞しているかのような臨場感溢れるライブです。特にお勧めしたいのは最終日の決勝。結果発表まで、リアルタイムで見られますよ(www.treffpunkt-rotebuehlplatz.de)。

Internationales Solo-Tanz-Theater Festival:
www.solo-tanz-theater.de

シュトゥットガルト
プログラムを手に、インターネットでライブ鑑賞

郭さん郭映南(かくえいなん)
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
HP: http://kakueinan.wordpress.com/
 
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